Tuesday, August 1, 2006

第12号は村上春樹関連特集です+プレゼント企画もあります!



今年は長梅雨(東京)でしたね。





隔月刊雑誌『遠近』(をちこち)の8月1日号を発行しました。今号は、「世界は村上春樹をどう読んでいるか」と題して、いま世界で愛読されている現代作家の一人、村上春樹氏の作品の翻訳に焦点をあて、国や世代を超えて共感を集める普遍的な魅力がどこにあるのかを探っています。


遠近 (第12号(2006年8・9月号))




村上春樹氏ご本人のエッセイ「翻訳することと、翻訳されること」*1 、村上作品の装丁でおなじみの安西水丸さんのエッセイ「村上春樹さんとの仕事のこと」、村上作品原作の『トニー滝谷』に主演したイッセー尾形さんのエッセイ「幸福の向こう側」など、盛りだくさんの内容でお届けしています。





また、村上作品の韓国語翻訳を手掛ける金春美(キム・チュンミ)さん、ロシア語翻訳を手掛けるイワン・ロガチョフさんから、それぞれの国で何故、村上作品がそれほどに受け入れられるのかについてのレポートも掲載しています。





3月にこのブログでもご紹介した、世界中の村上春樹作品の翻訳者が一堂に会した国際シンポジウム「春樹をめぐる冒険-世界は村上文学をどう読むか」に関連して、「冒険」に参加した15ヶ国・地域からの20名の翻訳家・評論家の紹介や、主催者ならでのメイキング話とあわせて、村上春樹氏のファンの方も、そうでない方も、是非、お読みください。





目次はこちらです。Amazonなどの主要オンライン書店で取扱っている他、お近くの書店でお取り寄せが可能です。





今回も、『遠近』をより深くお楽しみいただくために、記事や執筆くださった方に関連した読書&WEB案内をお届けします。





◆ 安西水丸さんが悩んだ「ふわふわ」はどうなった?


『ふわふわ』村上春樹、安西水丸 共著


ふわふわ (講談社文庫)





◆ イッセー尾形さんが「一瞬の喜びや、悲しみ」を演じ切りたかった作品


『トニー滝谷』監督:市川準、出演:イッセー尾形・宮沢りえ他


トニー滝谷 プレミアム・エディション [DVD]


イッセー尾形ファンの方、ブログもあります!





◆ ローランド・ケルツさんが21世紀に頭角を現してきた日本のアーティストについて書いた新著(英語です)


『Japanamerica: How Japanese Pop Culture Has Invaded the U.S.』


Japanamerica: How Japanese Pop Culture Has Invaded the U.S.





国際シンポジウム「春樹をめぐる冒険」関連


『文學界』6月号


ワークショップ1「翻訳の現場から見る村上ワールドの魅力」とワークショップ2


「グローバリゼーションのなかの村上文学と日本表象」を収録しています。





『新潮』5月号


リチャード・パワーズさんの基調講演「ハルキ・ムラカミ-広域分散―自己鏡像化―地下世界―ニューロサイエンス流―魂シェアリング・ピクチャーショー」を、柴田元幸先生の翻訳にて掲載しています。


原文(英語)「The Global Distributed Self-Mirroring Subterranean Neurological Soul-Sharing Picture Show」は、ジャパンファウンデーション発行の「Japanese Book News」48号に収録しています。(無料ダウンロード可能です。)





「春樹ワールド」の案内人4名の先生方もそれぞれ、各誌に寄稿くださいました。


『AERA English』7月号


柴田元幸先生と、基調講演をしてくださったリチャード・パワーズさんの対談「柴田元幸がリチャード・パワーズに聞く! 世界が見た村上春樹」が日英2カ国併記で収録されています。





『東京人』7月号


沼野充義先生による「『春樹をめぐる冒険』顛末記」の寄稿があります。


沼野先生は、シンポジウムに先立ってロシアを訪問され、その結果を、「ルポルタージュ ロシアの村上春樹」として、『文學界』5月号に寄稿しています。





◆ 「週刊ヨモタ白書」


四方田犬彦先生の「週刊ヨモタ白書」から、シンポジウム「春樹をめぐる冒険」について


vol.69 世界ハルキ会議を終えて


vol.70 カミクイシキの思い出


なお、このシンポジウムの全容については、文芸春秋から単行本が今週発行される予定です。また、このブログでもご紹介しますね!





その他諸々、編集ノートからです。


◆ 「春樹ワールド」の案内人で、「東アジアと村上春樹」のテーマで国際共同研究も行なっている藤井省三先生は、「村上春樹のなかの中国を読む」を、東京大学出版会の『UP』で連載中。最新号は、「ジェイズ・バー」という歴史の記憶~『風の歌を聴け』論です。





村上春樹氏に関するものなら英語でも読みたい!という方向け


◆ アメリカの文芸誌『A Public Space』創刊号


ローランド・ケルツさんの村上春樹氏へのインタビューが掲載されています。ケルツさんは、この号で日本の現代文学特集の編集を担当し、小川洋子・阿部和重・中原昌也の短編小説の翻訳も取り上げています。(ただ、発売元でもこの創刊号は売り切れのようです。日本では青山ブックセンターが取り扱っていましたが、4月の時点で私が購入したのが最後の1冊だったようです。その後、追加入荷していると良いのですが・・・。)





◆ ローランド・ケルツさんも話題にした、アメリカの作家 ジョン・アップダイクによる『海辺のカフカ』(英語版)についての書評「Subconscious Tunnels」(『ニューヨーカー』誌 2005年1月24日、31日号掲載)





ロシア絡みで2つ。


◆ 『ポートレイト・イン・ジャズ』のロシア語翻訳でジャズ用語の翻訳に悩んだイワン・ロガチョフさんは、漫画『らんま1/2』のロシア語翻訳者でもあります。読売新聞に、日本漫画を初めてロシア語で翻訳・出版したとして紹介記事が掲載されています。





◆ ロシア語で私も読めないのですが、ロシア語翻訳者のドミトリー・コヴァレーニンさんのHP「バーチャル寿司」。ビリヤード台の握り寿司という不思議な写真が見られます(笑)。





長々とお読みくださりありがとうございました。





夏ですし、どーんと、今回、このブログの読者の皆さんの中から10名の方に、この『遠近』12号をプレゼントいたします。ご希望の方は、ご自身のブログで、「世界は村上春樹をどう読んでいるか」というテーマに関連した記事をお書きの上、このブログにトラックバックをしてください!!(さらに、トラックバックでメールアドレスを公開されていない方は、プレゼント発送のために、ご連絡先をwochikochi@jpf.go.jpまで、お知らせいただければ幸いです。お知らせいただいた個人情報は、プレゼント発送以外には他用致しません。)


希望者多数の場合は、こちらで内容を読ませていただいた上で、選ばせていただきますので、ご了承ください。締切は8月10日(木)の正午(日本時間)までとさせていただきます。





次号の10月号は、「日本のアニメーション」(仮題)です。世界中の子どもや若者だけでなく、大人までを魅了する日本のアニメーションについて、豊かで多様なその魅力と歴史や、『遠近』ならではの海外事情レポートをお届けします。どうぞ、お楽しみに!




*1:『遠近』の前身、『国際交流』73号(1996年10月発行)に収録のエッセイを、本特集に際してご許可いただき、再度、収録したものです。





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