Thursday, November 2, 2006

漂流する新人職員、丁雲氏の講演会に出没






こんにちは。浜村です(旧姓:三富)。





さて、なさん。


先日、「シンガポールの放浪作家 丁雲(ディン・ユン)講演会―シンガポール華人の喪失と漂流―」に行ってきました。





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シンガポールの華人作家である丁雲さん*1は、マレーシアに生まれ、現在はシンガポールに暮らし、祖籍を中国にもつ“漂流する作家”です*2。講演会では、ご自身の漂流体験をもとに、シンガポールにおける華人文学についてお話いただきました。





◆“やむをえず”漂流する作家





講演の中で丁雲さんは、「なぜ作家は漂流しつづけるのか?」という問いに、次のように答えていらっしゃいました。






作家は、“やむをえず”漂流するのです。


“やむをえず”の理由はさまざまであり、貧しさや戦乱、飢餓などがあります。






さらに、作家は漂流することで創作意欲がかき立てられること、またその一方で、漂流しながらもなお、生まれ故郷を思いつづけるている、という漂流する作家の複雑な心情をご自身の経験を交えながら説明されていました。





丁雲さんがマレーシアからシンガポールへ漂流したのも、マレーシア国内の政治的混乱という“やむをえず”の理由から。


シンガポールの永住権を取得してもなお、一貫してマレーシアを題材とした作品を発表しつづけていらっしゃるように、丁雲さんご自身の作家活動にも、漂流する作家の心持ちが強く現れているように思えます。





◆「知らずば愛し合えず」





丁雲さんは講演会の開催に際し、「日本への手紙」と題された文章を寄せていらっしゃいます。






おはよう、日本。


私は来た。戦々恐々と、喜びと憂いの交じった心持で。


・・・・



手紙の中で丁雲さんは、ご自身が日本について知りえることは、著名な作家、映画監督などの文学や映画、雑誌などを通じて得ることのできた限られたものであるとして、未知の国日本へ渡る「戦々恐々とした」心情を説明されています。また、マレー人の「知らずば愛し合えず」ということわざを引用しながら、『だからこそ今、私は日本を知り、そして愛し合うために来た。』と、訪日の抱負を語っていらっしゃいます。





大阪、東京につづき、仙台、函館の二都市を訪問される丁雲さんですが、異文化との触れ合いを通じて何を感じとられたのか、日本でのプチ漂流経験について、また改めてお聞きしたいものです。





講演会や東京滞在中の様子などは、今夜NHK・BSで放映される予定です。是非ご覧下さい!



NHK衛星第一「きょうの世界」 22:15~23:45


http://www.nhk.or.jp/kyounosekai/


『“アジア的な民族共生”を語る ~華人作家 丁雲~』





*1:丁雲さんは、情報センターの丁寧さんとご親戚、ではありません。


*2:ちなみに、私も出身は静岡、大学は大阪、大学院は愛知、そして現在は東京と、日本全国を漂流してきたジャパンファウンデーションの職員です。





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