Friday, April 27, 2007

 すしくいね~♪






\( ̄▽ ̄\))))オヒサァー♪ 潮風デス―☆


しばらくブランクがあいてしまいました、なつかすぃブログの空気 ∈(*´◇`*)∋スパー




実はこの間、潮風は海外出張にいっていました。そこで現地の日本語学習者に会ったりしたのですが*1、よくあがった話題の一つが「日本食では何が好き?」。で、答えとしてはザSUSHI、一番人気。生魚はだめーって声もあるにはあるのですが、実際、街を歩いていても見るわ見るわ、すし屋さん。エジプトにも数店できているそうですし、ロンドンでは「日本食」として売られている以外にも、駅の売店やカフェとかでもチョロっとおいてあったりして。体にいいこと、そして見た目がカラフルで味もバラエティに富んでいることが愛される理由なのかもしれませんね。





まぁそんなキング的地位☆をもつすしですが、このすしをモチーフにしているインターネット日本語試験を今回は紹介したいと思います!!!f:id:japanfoundation:20070425112228j:image:right





その名も・・・すしテスト(http://momo.jpf.go.jp/sushi/)


ドドーン ∑(゚ロ゚〃)




どうですか?このシンプルかつ大胆なネーミング。このテストは、メインキャラクターはなまるくん(なんて凛々しい眉毛)が握るすし屋に来店してテストを受けます。そしてテストの結果(100点満点)により、ご褒美としておすしがもらえます。このご褒美システム、芸が細かいですよ。おすしは3つのランクに分けられていて、高得点をとらないといいランクのネタはもらえません。いくらとかトロとか欲しかったら頑張らなきゃなんです。そして70点以上取ると、おすしと一緒にお茶がもらえます~~旦_(-ω- ) ドモドモ もらったおすしは、すし桶にいれてもらえるので、次回ログインしたときもちゃんと残っています。さらに10回連続で70点以上とると、もっとすてきなことが起きるらしく・・・*2!?




f:id:japanfoundation:20070426151316j:image:leftさらにテスト以外にも、このサイトでは「成績証明書*3が印刷できたり、「みんなのひろば」で自由にメッセージを送ったり*4、キャラクターの自己紹介を見られたりします。また日本語の先生方は、「せんせいがたへ」のページからテストのシラバスが見られたり、「みんなでテスト」機能を使って学生全員に先生が決めたテストを受けさせることができるんで、そちらもぜひぜひ*5




ね、楽しいしかけだらけ☆このヒミツは、すしテストの対象&目的にあります。世界の日本語学習者のナント65.7%*6が初中等教育機関での学習者。このテストは彼ら海外の中学校や高校で日本語を勉強している学習者を主な対象とし、中学生や高校生が、いつでも、どこにいても、 楽しく日本語が勉強できる方法として生まれたんです!日本語能力試験の4級がまだ難しいと思っている学習者の勉強の励みにしてもらいたいと思っています。





おかげさまで、現在その思いは通じていて、登録者数はもうすぐ10万人、受験回数は16万回を突破!しかも過去一番多く受験した人の受験回数は・・・313回!!!100回以上受験している人は21人もいます。  ε=ε=ε=ε=ε=ε=ε=ε=ε= ヒイィィィ!!!!( ̄⊥ ̄ノ)ノ 





どうでしょ。かなり興味がそそられてしまった方、もちろん海外の中高生以外の学習者も大歓迎ですので、ぜひアクセスしてみてください。日本語学習を体験するもよし、近くの日本語学習者に紹介するのもよし、ですよー。


さぁ!みんなで目指せ!!314回!!!




*1:潮風の所属は日本語事業部ですので、日本語教育関係機関の動向調査もミッションの一つでした


*2:潮風もまだ4回しか受験していないので、まだなぞです。どきどき。。


*3:背景には高山寺の鳥獣人物戯画(一般的には鳥獣戯画)が使われています!すごー


*4:2004年6月以来1400通のメッセージが届いています。


*5:詳しい使い方はメニューの中の「せんせいがたへ」をご覧下さい!


*6:開発当時のデータ(1998年国際交流基金日本語教育機関調査)より。2003年データでは64.8%





Friday, April 20, 2007

Casa Asiaの活動 その3 世界の最前線で日本を伝えている人たちがいます






こんにちは。松岡です。





またまた前回の記事から1カ月経ってしまいました。別に情報を小出しにして、登場頻度をかせいでるわけではありません。


今回も、Casa Asiaで出会った日本人の方のお話をしたいと思います。





こんなことは書くまでもないのですが、世界中には日本のことを様々な形で紹介している日本人がたくさんいます。ジャパンファウンデーションの仕事も、全世界の中で見れば本当に一部に過ぎないわけですね。




今日は、スペインで日本紹介をずっと続けてきている方と話す機会があったので、そのときの様子をお伝えします*1






(バルセロナでの日本文化に対する認知度はどの程度なのでしょうか?)


バルセロナにおける日本文化の浸透度については、ようやく日本文化というモノが知れ渡り始めたという段階です。


そのきっかけというのは、


・健康志向より派生した日本食への関心の高まり。


・若年層を中心とした漫画・アニメへの関心

・盆栽ブーム*2(何代か前の首相が盆栽好きだったようで、そこからスペイン国民の間でも盆栽ブームが広まったとのこと)


といった点が挙げられます。


これらの動きは5年くらい前から出てきている模様。






バルセロナに来てみてびっくりしたことの1つに、MUJIの人気っぷりがあげられます。MUJIというのは、無印良品の海外ブランドで、アジアやヨーロッパを中心に展開してます。


語学学校の先生から職場の同僚、たまたま知り合ったスペイン人まで、皆僕が日本人と知ると、「MUJIはいいよね」という話をしてきました。


バルセロナにも2件あり、僕も到着早々スリッパがなかったのでそれを買いに行きました。





MUJIの人気っぷりや、日本食ブームなんかからも感じたのですが、スペイン人にとって日本の魅力の1つには「シンプルさ」というものがあるような気がします。あるスペイン人曰く、MUJIのシンプルなデザインと日本の禅の精神みたいなものが結びつくようです。





食に関しても、UDONという名前のうどん屋(多分)を見つけました。


実際に食べてはいないのですが、うどんのようなシンプルな食事は、ヘルシーであるという健康面でのきっかけと、ファッションとしてのかっこよさのようなものが重なって人気なのかもしれません。



(普段、日本文化を紹介する活動をされていて困ったことなどはありますか?)


何よりも素材が足りなくて困っています。日本であればすぐに手に入るようなものでも、海外では非常に入手が困難だったりします。一番使いやすく、わかりやすく伝えられる映像資料も新しいものは入手が困難で、10年以上前に制作された映像資料を使ったりするケースもあります。


また、多くの人が日本といえば東京か京都、というイメージを持っており、また日本を紹介する素材に関しても偏りの有るものもあります。個人的には47都道府県の紹介をしてみたく、そうした紹介事業を通じて日本の多様な文化を伝えていきたいです。


ジャパンファウンデーションの行なっている活動の中でも、オーストラリアで実施されたワンダーバス・ジャパンなんかは、国を問わずに受けると思いますよ。ヨーロッパのような陸続きの地域ならいろんな国を回って巡回できるのではないでしょうか?






こうした各地で孤軍奮闘されている方を、様々な面でサポートしていくこともジャパンファウンデーションの大切な仕事の1つなんだと痛感しましたね。


自分達で企画して作り上げていく仕事も重要ですが、それと同時にいかにこのような方々の力を借りながら活動を広げていくかということも考えなければいけません。





都道府県の情報が欲しいという話がありましたが、日本には全国の自治体の国際交流をサポートしているCLAIR(自治体国際化協会)という団体がありますね。こういうニーズは意外と多いのかもしれません。


関係者の方、もし見てたらアドバイスをぜひ!!








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ということで、3回に渡ってお届けしてきました「Casa Asiaの活動」ですが、今回で終わりになります。


また何かの機会がありましたら、Casa Asiaの活動の続報を皆さんにお伝えできればと思っております。








*1:こんなきれいなインタビュー形式ではありませんでしたが、内容をかいつまんでインタビュー形式にしてお届けします


*2:確かに、何故かデパートには盆栽コーナーが必ずあり、クリスマス市でもモミの木と並んで盆栽が売られてました。





Wednesday, April 18, 2007

 文化担当官のお仕事②~セネガル地方巡業編-教育広報と映画会~






今日は、昨日に引き続き、セネガルからの報告をお届けします*1

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f:id:japanfoundation:20061110192555j:image:right大使館文化担当の仕事のひとつに、地方での教育広報と文化事業の実施があります。ダカールから遠く離れ、日本の文化に接する機会がほとんどない村落の子どもたちや住民を対象に、映画上映会や小学校でのワークショップを実施するもの。一回の「巡業」は3泊4日程度、それを年間3-4回。セネガルでは青年海外協力隊のみなさんが、各地で小学校教育(主に情操教育)や村落開発などの活動をされているので、その協力を得て実施するケースがほとんどです。




朝7時。「地方巡業七つ道具」を同僚のタルさんと一緒に車に積み込み、眠い目をこすりつつ出発。早朝の薄明かりの中、すでにダカールの渋滞は始まっています。昨今の絶え間ない都市改造計画のおかげで、道路は至る所が通行止めや工事中、あっちでもこっちでもクラクションが鳴りっぱなし、おまわりさんもお手上げ状態。ダカール脱出だけで2時間かかることもまれではありません。



さて、「七つ道具」の中身は何かというと、発電機とコードリール(重いんです、これが)、大小二つの組立て式スクリーン(重いんです、これも)、マイクにスピーカー、映写機にプロジェクター、ヴィデオ・カセット・16㎜フィルム、郷土玩具に日本の絵本、クレヨン・画用紙・にっぽにあ*2

                                              

f:id:japanfoundation:20061110192612j:image:left満載された荷物の隙間にちぢこまり、ガタガタ揺られること3時間半、村の小学校に無事到着。村は大抵、最寄りの町から約20キロ、砂地のオフロードを迷いながら分け入って行ったところにあって、人口はだいたい600人~1000人。もちろん小学校はひとつだけ。ここに、近隣の村の子どもたちも含めて300~500人が学んでいます。電気が来ていたりしたら、チョーめっけもの。水道もないことがしばしばです。村によっては壁も屋根もワラでできている「三匹の子豚」の家みたいな学校もあるんですよ(おまけにこの校舎、つい先日竜巻が来て、飛んじゃったそうです)。そんな中で生徒たちは、目を輝かせて生き生きと勉強しています。ちなみに「ワラ学校」は、その地域でも有数の成績優秀校。




子どもたちが目をまん丸くして見守る中、挨拶もそこそこに作業開始。発電機はあっちの木陰へ(音がうるさいので、なるべく遠くに置く)、スクリーンやプロジェクターはこっちの教室へ、とテキパキと組立てて(子どもたちの感嘆の視線にチョットいい気分)、いよいよワークショップの始まりです。




まずは日本紹介短編ビデオを続けて3本。日本の最新の話題を扱った「ジャパン・ビデオ・トピックス」から、子どもや学校、家族の生活などを取り上げた話題を選んで上映します。プロジェクターが古くてよく止まってしまうので、そういうときは急遽歌を歌ってみたり、日本語会話にわか講座をやってみたり。苦しまぎれに「あいうえお」と「あ」から「ん」まで一気にまくし立て、図らずも子どもたちの大喝采を浴びたこともありました。文化担当もラクじゃありません。(^▽^;)




次は、二手に分かれて、交互に絵本の読み聞かせと日本のあそび体験。赤羽末吉の「だいくとおにろく」などを読んで、感想を話し合ったり、日本の郷土玩具で遊んだりします。絵本はフランス語で読み、難しい単語には補足説明を加えますが、子どもたちの理解力や洞察力の深さに驚かされることもしばしばです。他方「あそび」は万国共通。万華鏡やだるま落とし、竹とんぼにおおはしゃぎ。   

f:id:japanfoundation:20061109012838j:image f:id:japanfoundation:20061220024152j:image

<絵本の読み聞かせ>                 <万華鏡に夢中な子供たち>

そして最後に「今日の体験を絵に描いてみましょう」と言って画用紙とクレヨンを配ります。「自由な発想で絵を描く」ということに慣れていないためか、どうしてもみんな同じような絵になることが多いのですが、中にはへええ、やるじゃない、という作品があったりして、いつもたのしみな瞬間です。




f:id:japanfoundation:20061123060601j:image:right そうこうするうちにはや1時半。子どもたちにさよならして、昼食を取りながら先生や隊員さんたちと意見交換ののち、しばし休憩。セネガルの内陸部は季節によっては日中50度を超えるため、ここで少しでも休んでおかないと身体が持ちません。町に戻る時間がないときは、車の中や教室の隅っこなどで仮眠を取ることも。夕方涼しくなったら、今度は地元の若者に手伝ってもらって、夜の上映会用の映画のスクリーンを設置します。会場は、ワークショップをやった小学校の校庭。2006年は「ナビィの恋」を上映しました。全国各地11ヶ所、都合11回同じ作品を見たので、セリフも音楽もすっかり覚え、ナビィが長年のともだちみたいに思えてきました。




映画はパリの日本大使館所蔵の16㎜フィルムを借ります。村落での上映の場合、フランス語字幕が読めない人も多いので、現地語(ウォロフ語)で「弁士」をやるか、映像だけでも筋の追いやすい動きの多い作品(「ウォーターボーイズ」などは大人気)にするか、の選択となります。「ナビィ」はタルさんが弁士。声を枯らして毎回の熱弁です(どうもセリフにないこともしゃべっているらしく、やたら長い)。ともあれ、大きな画面に映る映像に、村の人たちもお祭り気分。上映を待つ間もにぎやかにおしゃべりしています。多いときは1000人近い村人が校庭に集まります。




上映が終わり、すっかり夜も更けて、満点の星の下でのあと片付け。「ご飯を用意したからどうぞ」と言われ、地元のお母さんたちの心づくしのセネガル料理をご馳走になることもあります。教室に戻って、「マイ・スプーン」を渡されて、片手にスプーン、片手に懐中電灯、といういでたちで(だって電気、ないんですよ)、暗闇の中で洗面器みたいな巨大なお皿に一斉にスプーンを突っ込んで、にぎやかに食べます。楽しかった一日の最高の締めくくり。そして関係者全員と、「また会いましょう」と固い長い握手を交わして(これ、ゼッタイ必要な礼儀)、学校を辞し、宿舎に向かいます。ときには宿舎近辺が停電で、あたり一面漆黒の闇、なんてこともあります。車のヘッドライトと懐中電灯で這う這うの体で宿舎を探し出し、暗がりで鍵穴をごそごそ探し、どうせお湯は出ないからいい加減に水で顔や手足を洗って、眠りにつけばはや午前2時。あー、明日も朝から小学校でワークショップ。( ̄▽ ̄;)!!




f:id:japanfoundation:20061109033623j:image:leftこうしてパリダカにまさるとも劣らない、体力勝負の私たちの地方巡業はまだまだ続くのであります・・・

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*1オレペコより:昨日の記事に、booboo_002さん から早速トラバをいただきました。ありがとうございます!「月の夜に、バオバブの森をひたすら通過した…」 とありますが、さぞかし幻想的なことでしょうね。

*2:「にっぽにあ」は日本の最新のトピックを紹介する雑誌で、学校の先生に大人気。各学校に5冊ずつくらい持参します。




Tuesday, April 17, 2007

 文化担当官のお仕事①~セネガルってどんなとこ?~(゚_。)?



f:id:japanfoundation:20061218201741j:image:w250


みなさんこんにちはー。オレペコです。

突然ですが、有名なモーターレース「パリ・ダカ」の終点、ダカールってどの国の都市だかご存知でしょうか?・・・そう、アフリカの”セネガル”です。私たち日本人にとってはなじみの薄いこの国で、一体どんな文化交流事業が行われているのでしょうか?セネガル大使館に出向し*1文化担当官として活躍中のの高須さんからの報告をお届けします!


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「セネガルって島だっけ?」・・・ちがいます。


「たしか、南半球だよね?」・・・ち、ちがいますっ。


「第一次世界大戦の火種になったところだよね」・・・・うーむ、それってセルビアなんですけど。





まあ、こういう人ばかりではないと思いますが(・・。)ゞ、セネガルは北緯14度40分、西経17度30分、アフリカ最西端に位置し*2、日本の半分くらいの大きさで、 小説「ルーツ」の主人公クンタ・キンテの祖国であるガンビアが国土の真ん中に「突き刺さって」いて(俗にいう「アフリカのとげ」)、国民の95%がイスラム教徒で、「公用語」はフランス語で、それ以外に「国語」が15以上あって、アフリカ随一の美男美女国と言われていて、パリ・コレのファッションモデルの多くはセネガル系で(ふー、息が切れてきました・・・)、なんて言われると、「へええ、そうなんだ」と思う人は少なくないかもしれませんね。





それじゃ「フジヤマ、ゲイシャ、アキハバラ」的な セネガル三種の神器 は何か。さしずめ「パリダカ、バオバブ、ユッスー・ンドゥール」といったところでしょうか。






「パリダカ」は、いわずと知れたヨーロッパとアフリカを結ぶ8000kmの苛酷な耐久戦。この一月のレースでは、片山右京さんが天ぷら油の廃油を使ったリサイクル燃料で砂漠を完走し、大きな話題を呼びました。





「バオバブ」は、サン・テグジュペリの「星の王子様」にも出てくる、セネガルの至る所に自生する巨大な樹木。サバンナを跳梁跋扈する妖怪の群れを連想させる怪異な風体ですが、昔から精霊が宿ると信じられており、セネガル人は畏敬と愛着をもってこの木を語ります。サン・テグジュペリはセネガル北部の町サン・ルイ(ちなみに世界遺産)から国際郵便を携えてモーリタニア上空を飛行していましたから、きっと上から下から、このバオバブたちを眺めていたことでしょう。


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<左:これがバオバブの木です> <右:人が立ってみると・・ほら、こんなに大きいっ!>





そして最後に、セネガルが生んだスーパースター、ユッスー・ンドゥール。その圧倒的な声量と艶のある甘い声は、いまも世界中の人を魅了し続けています。マラリア撲滅キャンペーンや子どもの教育啓発など、社会貢献活動に熱心に取り組む篤志家でもあります。聞くところによると、ダカールの下町に自分のライブハウスを持っていて、週末は夜中の2時からユッスーが颯爽と登場、ダカールっ子総立ちの興奮の渦のなか、朝の5時まで歌うんだとか。




て、せっかくですから、セネガル文化の特徴について少し考えてみましょうか。初代大統領で詩人としても著名なレオポルド・セダール・サンゴールは、文化多様性に基づく「世界文明」を提唱し、1966年に第一回黒人芸術文化祭をダカールで開催したことでも知られますが、その「定着と開化」の思想は、セネガルの文化人にいまも根強く継承されています。セネガル文化界のスーパースターとも言うべきサンゴール自身が、少数民族であるセレール族かつカトリック教徒であることにも象徴されるように、この国は、イスラム教徒もキリスト教徒もアニミスト*3も、ウォロフ族もプル族もセレール族もトゥクルール族もソニンケ族もその他さまざまな少数民族も、民族や宗教の壁を超えて(というより違いを「超えるべき壁」とは思わず)、混在するさまざまな違いをふくよかに包含し、総合的な文化的環境を形成する懐の深さを持ち続けてきました。セネガルはユネスコの「文化的表現の多様性の保護と促進に関する条約」(文化多様性条約)を、2007年3月の発効にさきがけていち早く締結した国のひとつですが、これも長年にわたって多文化・多言語・多宗教を平和的に共存させてきた国民性と社会的モラルの自然な延長であると言ってよいでしょう。





化多様性と表裏一体をなす「無形文化遺産の継承」に熱心なことも、セネガル文化の大きな特徴です。みなさんは グリオって知っていますか?セネガルの各民族の歴史をそれぞれの言葉で、太鼓やコラという弦楽器などとともに「語り継ぐ」口承歴史家のことです。「ひとりのグリオが死ぬことは、図書館がひとつ焼けるに等しい」と言われるほど、その存在は文化の継承に重い役割を果たしています。2006年5月には、日本の重要無形文化財指定制度を参考にした人間国宝制度が制定され、太鼓奏者のドゥドゥ・ンジャエ・ローズや映画監督のウスマン・センベーヌなど、セネガルの文化をさまざまな形で豊かに継承する5名が認定されました。そのうち3人までがグリオです。ドゥドゥは家族(噂によれば、子どもだけで50人いるんだとか)を引き連れて、毎年のように日本でコンサートをしていますし、センベーヌ監督の「母たちの村」(原題「モーラーデ」)は昨年岩波ホールで公開されましたから、ご存知の方も多いと思います。ちなみにセンベーヌ監督は、1984年に実施された国際交流基金主催「アフリカ映画祭」の際、文化人として日本に招へいされています。





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<基金が派遣した和太鼓ユニット「は・や・と」と交流するドゥドゥ・ンジャエ・ローズ>





「おいおい、『文化担当のおしごと』の話はいつ出てくるんだよ」とそろそろ野次が飛んできそうな気配になってきました。(^_^;)でもね、「1500字ですよっ」と言われているのに、あっという間に制限字数を超えちゃったもので、具体的な仕事については次回、たっぷりご紹介することにしましょう。お楽しみに。


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*1:ジャパンファウンデーションは海外19カ所に事務所を持っていますが、事務所が存在しない国・地域については外務省の公館に出向して外務公務員の身分で文化交流事業に携わる場合があります。2007年3月時点で、計10ヶ所(モスクワ、ウイーン、ベルリン、上海、重慶、ニューオリンズ、カラチ、ハノイ、ダカール、タシケント)に職員が出向中です!


*2:といっても、場所がすぐ思い浮かぶ人、少ないですよねー。確かめたい人は、こちらの地図でどうぞ。


*3:オレペコより:Animist=精霊を信仰・崇拝している人々のこと





Friday, April 13, 2007

 カラオケ日本語学習キャラバンinブラジル(この熱気が・・・「南米か!」 )(後編)






今日は、昨日に引き続き、「カラオケ日本語学習キャラバンinブラジル」についてサンパウロ日本文化センター*1のタムタムからの報告をお届けします。現地でイベント実施にかかわった彼だからこそわかる「課題」とはなんだったのでしょうか?それでは、どうぞ。


゚・:*:・。♪☆゚・:*:・。♪☆゚・:*:・。♪☆゚・:*:・。♪☆





まず、 一番の課題 は、これが日本語普及関連のイベントだということを強調しなければなりません。(゚ー゚)(。_。)ウンウン


特に難しいのは、カラオケイベントは あくまで付随的なもの で、そこにスポットが当たりすぎないようにイベント構成を行うことです。現在の構成は



(第1部)日本の若者の歌DVDコンサート


(第2部)各地の日本語教師の中から選抜された教師による日本の歌を使った日本語学習デモンストレーション


(第3部)各地のブラジルの若者による日本の歌カラオケコンテスト



というものなのですが、やはり第二部をメインに、次にカラオケ、そしてDVDコンサート用のPV(Promotion Video)で興味を引き立てて、全体として上手く繋げられればと私は考えます。




さらに欲を言えば、このイベントを通して気に入ってもらったアーティストの曲をダウンロードする、その歌がテーマ曲となっているアニメや特撮を見る、その歌がテーマ曲となっている漫画を読む、とトータルで日本のポップカルチャーがブラジルでもっともっと広まっていけば、これ恐悦至極にござりまする*2。イベントで関連Webサイト・TV局・書店をもっと紹介したり、協賛を得ても良いでしょう。





さて、イベントはいよいよ地方大会を終え、全伯大会(3月11日)へ。基本的な構成は各地方大会と同様ですが、全伯と言うだけあって第1部のPVから第2部日本語デモンストレーション担当の先生方、そしてラストのカラオケコンテスト出場者と全てが選りすぐりの精鋭陣であります。カラオケの出場者は地方大会で選出された14組の若者(2つのペアを含む)達で、歌が上手いのはもちろん日本語の発音もしっかりしていて、会場来場者に日本語への興味を十分にかき立ててくれました。





ここでひとつ、気が付いたこと。

(^_^)σ このレベルの出場者になると、自分で歌っている歌詞の意味、はては歌詞に隠された隠喩まで、全て理解している模様。結果、歌声に素晴らしく感情を込めることが出来ているのです。そして500人の来場者を前にしても、堂々としたパフォーマンス!これにはひたすら、w(@O@;)wオォ・・・ビックリ*3


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<すばらしい熱演を繰り広げてくれた各地方大会代表者達>





こうして、ようやく1ヶ月に渡ったキャラバン第2回目を無事終了することが出来ました。今回も第1回目同様、全体として成功裏に終わったと思いますが、今後第3回目が実現する際には、更に効果的な企画構成で高い効果を狙っていきたいと思います('-'*)




*1オレペコより:そういえば最近、サンパウロ日本文化センターを訪問してくださったまっちれおんさんが記事をかいてくださっています!


*2:海外では基本的に日本のチャンネルはNHK国際版しか見られないため、私は最近これまでになく大河ドラマに釘付けです。


*3:某人気芸人の口癖を拝借すれば「南米か!」ならぬ「セミプロか!」と言ったところです。実際、ブラジル人は歌の上手い方が多く、日本のスカウトの目にも留まるらしいですが、日本の不規則な芸能生活に慣れるのは難しいようです。





Thursday, April 12, 2007

カラオケ日本語学習キャラバンinブラジル(この熱気が・・・「南米か!」 )(前編)



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のっけからどどーんと、”あいのり”のラブワゴン?!のようなバスが登場しましたが、、、今日は、大好評につき去年*1に引き続き行われた「カラオケ日本語学習キャラバンinブラジル」事業について、サンパウロ事務所で働くわが同僚、タムタムからの報告をお届けします*2。(^▽^)/





来年(2008年)、日本からの移民が移住して100周年を迎えるため、 日伯交流年 として様々な事業が企画されるなど、今、大注目のブラジル。このブログでも、サッカーやサンバだけじゃない、かずかずの魅力を持つブラジルをお伝えしていければと思います。その皮切りとなるのが、カラオケキャラバン♪それでは、どーぞ!





゚・:*:・。♪☆゚・:*:・。♪☆゚・:*:・。♪☆゚・:*:・。♪☆



はじめて原稿を書かせていただくことになりました。サンパウロ日本文化センターのタムタムと申します。いきなり話がずれますが、私、基金に入ってからこのタムタムの呼び名が定着しました。本人としては・・・まんざらでもありません。(・・。)ゞ




さて、今回記事を書かせてもらうきっかけとなったのは、今年で通算2回目となるイベント 「カラオケ日本語学習キャラバンinブラジル」 の終了報告のためです*3。冒頭にいきなり「カラオケ」とあるので「何のこっちゃ」と思う方が多いでしょうが、カラオケはあくまで手段であり、それを通じてブラジルの人たちにもっともっと日本語に興味を持ってほしい!というイベントなのです。少し堅苦しく書いてしまうと、こんな↓感じです。



「カラオケ日本語学習キャラバンは、ブラジル国内数ヶ所の拠点地域へ出かけて行き、ブラジルで日本語を学ぶ学習者の大多数を占める中学生・高校生および大学生の若者に対し、日本の若者の歌を通じて日本語を学ぶ楽しさを伝え、現場の先生方へは歌を通じた教授活動のデモンストレーションを行う。そして、また、あわせて現地で「ブラジルの若者による日本の歌カラオケコンテスト」(実質的な地方大会)を実施し、最終的に優秀者数名ずつをサンパウロで行う全国大会に招待する。」






これでよく分かりました、か?

ちなみに私は地方大会(サンパウロ・リオデジャネイロ・ブラジリア・クリチバ・マナウス・レシフェ)の内、リオデジャネイロとクリチバに出かけて行き、会場準備手伝いやカラオケコンテスト出場者審査を担当しました。二つの地域はとても対照的で、日系移民が比較的少ないリオでは出場者全員が非日系と言う珍しい光景でした*4。一方クリチバでは日系コミュニティがしっかり根付いており、出場者も日系の若者が多かったです。




ポップカルチャーというカテゴリー内で捉えれば、ブラジルでは(ブラジルでも)特に漫画やアニメ、特撮戦隊ものの人気が凄まじく、リオ大会の日はこちらのイベントと同日、同会場内の別ホールにてアニメ関連のフェス(=フェスティバル)が催されていたこともあり、フェス参加者がこちらのイベントに顔を出してくれたりと、若者*5パワー爆発で凄い熱気でした。会場準備中から既に、私はフェスの方のお手伝いと間違われ「早くそこの机持って行って!終わったら垂れ幕の用意頼むよ!」とこき使われてしまったことも、とても良い思い出です。(;^◇^;)ゝ





リオ大会終了後には会場でコメントを求められましたが、本当にもう、感謝の言葉しか出てきませんでした。こんなに日本のことに興味を持ってくれる若者達が沢山いるなんて・・・。





f:id:japanfoundation:20070203232202j:image:w250 <楽しみに開始を待つリオの観客達>





クリチバでは、リオと同様に非日系の若者(特に遠く南部のポルトアレグレから参加してくれた人達)が会場を盛上げてくれ嬉しかったのですが、もう一つ印象的だったのは、会場でイベント前日に耳にした、日系コミュニティの若者達の奏でる太鼓の音。私が日本で聞いたものに引けをとらない素晴らしい音色でした。こうやって、世界各地で綿々と日本の文化が受け継がれていくんだなあと実感・・・。





f:id:japanfoundation:20070226050818j:image:w250<地元クリチバの出場者、及びポルトアレグレから駆けつけた出場者達>





こうして各地方大会には、多くの方々に参加していただきました。参加者数(概算)は次の通りです。






サンパウロ(2月24日)250名/リオデジャネイロ(2月3日)300名/ブラジリア(2月11日)150名/クリチバ(2月25日)200名/マナウス(2月10日)300名/レシフェ(2月3日)200名        


合計 1400名



各地へ出向いて行き感じたもの、「これ、いいイベントだなぁ」。


・・・と自画自賛してばかりもいられません。良い点もあれば反省点もあります・・・(つづく)


゚・:*:・。♪☆゚・:*:・。♪☆゚・:*:・。♪☆゚・:*:・。♪☆





現地でイベントに直接携わっているからこそ見えてくる、課題。


タムタムさんが感じた課題はなんだったのでしょうか???地方大会を勝ち抜いた出場者のみなさんによる全国大会の様子とあわせて、明日、お届けします。




*1オレペコより:昨年の様子をリポートしたブログ記事はこちら。サポーターズクラブの記事はこちら


*2オレペコより:ちなみにこの事業、たびたびご紹介している「動画スクウェア」同様、社内での新規事業コンペである「先駆的・創造的事業」から生まれた事業です。


*3:ポルトガル語では「CARAVANA DE KARAOKÊ BRASIL 2007」です。当センターのサイト内に(ポルトガル語のみですが・・・)公式ページがあります→こちら


*4:ブラジル特にサンパウロでは日系移民の方がとても多く、町で日本人顔の方々と擦違うことは日常茶飯事です。ブラジルには他にも日系移民の多い町が多くあります。


*5:私は青年から既に中年の域に差し掛かっていますので、たじたじでした。





Wednesday, April 11, 2007

舞台裏から表舞台へ・・・(韓国編)



こんにちは。三富です。


3月に実施して大変好評だったJFSCイベント「国際文化交流最前線の舞台裏 海外事務所の一日」ですが、第1回のジャカルタ日本文化センターにつづき、第2回は韓国編と題し、2002年のソウル日本文化センター開設の経緯やこれまでの活動内容などについて、韓国駐在経験のある本田職員、一寸木職員、町田職員の3名が報告します!






「国際文化交流最前線の舞台裏 ~海外事務所の一日 韓国編~」


日時:4月21日(土)14:00~16:00


場所:ジャパンファウンデーション本部 JFICコモンズ


   http://www.jpf.go.jp/j/about_j/access03.html


参加費:非会員の方のみ200円


参加申込:4月18日(水)までに、メール(info@jfsc.jp)にてお申込みください。


※件名を「4月のイベント」とし、お名前、連絡先をご記入ください。






韓国といえば、『冬のソナタ』をきっかけに、ペ・ヨンジュン、チェ・ジウ、イ・ビョンホン・・・など数々の韓流スターが日本を席捲し、韓流ブームが騒がれて久しいですが、基金でもさらに韓国と日本との相互理解が促進されるよう、ジャーナリスト交流や若者就労支援に関するNPO関係者交流など、日韓交流に関係するさまざまな事業を行っています。





最近では、2月に「料理と漫画で本格的日韓食文化に親しむ」と題した事業をソウルで実施しました。





日本でもキムチ、ビビンバ、チヂミなど、韓国料理はすっかりお馴染みとなりましたが、最近では韓国でも日本料理が人気を集めているそうです。

そこで、国際交流基金では、韓国の方々にもっともっと日本料理に親しんでいただこうと、韓国のトップシェフを対象とした本格日本料理のワークショップ*1と、日本でも人気の料理漫画家・寺沢大介先生のアニメーションの上映・原画展等に加え、『食客』の著者として韓国で人気の漫画家ホ・ヨンマンさんとの対談を行いました。





寺沢先生といえば、今週土曜日に日本テレビ系列で放映が始まる『喰いタン2』の原作者。さらには『将太の寿司』、『ミスター味っ子』など、些か漫画に疎い私でも「あーっ、知ってる!」というほどの数々の代表作を生みだしていらっしゃいます。





大成功を収めたこの事業を担当していたのが町田職員。





な、なんと、今週(4月10日)発売の『イブニング』に掲載の『喰いタン』(7ページ)に町田職員がちょっとだけ登場しています(どんな形で登場しているかは、見てのお楽しみ)。さらに、さらに、『遠近』6月号には、寺沢先生によるレポート漫画が掲載される予定!まだまだ熱気は冷めやらない様子ですね~。





今回のJFSCイベントでは、事業の実施に至るまでの苦労話やイベント当日の裏話などが聞けるかもしれません!?


皆さんのご参加をお待ちしております。




*1:日本料理のワークショップには「上沼恵美子のおしゃべりクッキング」でお馴染みの辻調理師専門学校の畑耕一郎先生と川本徹也先生を講師にお迎えしました。





Tuesday, April 10, 2007

国際交流の舞台裏~Vol.5 映像出版課Yさんの場合



みなさん、こんにちは。三富です。

応募書類の提出は4月2日で締め切られてしまった2008年度国際交流基金職員募集ですが、こんな↓声にお応えして、まだまだ続けてしまいます国際交流の舞台裏シリーズ・第5弾*1






就活関係の進行手順や、採用サイトの作りなどに、業種、会社によって時代性の違いがあんなぁ、と思うのですが、


(中略)


国際交流基金のブログはたいそう勉強になります。エントリーしてないけど( ´_ゝ`)


独座幽集 とある薬師の備忘録






今回は、入社2年目を迎えた映像出版課のYさん。入社後の基金の印象や1年目の業務の様子など、フレッシュな視点からお話いただきます。


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===================略歴===========================


1982年 横浜に生まれる


2001年 4月某大学の外国語学部に入学。専攻はフランス語


2006年 3月在学中1年のフランス留学(遊学?)を経て、卒業


2006年 4月基金に入社 芸術交流部映像出版課配属


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Q1:基金を志望した理由を教えてください。





私の外国への興味は記憶があるのと同じくらい古い気がします。小さい頃から世界地図を眺め(今も地図好きは変わりませんが)、外国の童話を読んではあこがれを募らせていました。父がフランスにちょっとだけ関わりがあり話を聞いていたので、私の中では、外国と言えばフランスであり、特に文化への興味は大きかったです。


中学で英語を始めて、英語がとても好きになりましたが、大学の専攻は英語ではなく長年学びたかったフランス語にしました。これを決めた時に「実用」や「ビジネス」の道は放棄した気がします(笑)。


ゼミはフランス史でしたが、フランス文学の先生の研究室にもよく遊びに行きました。卒論はフランスの女性運動にまつわる思想について書きました。


文化政策が強力な国でもある、フランスでの生活を1年間満喫して、公の立場で仕事がしたいな、とか文化や外国に携わる仕事がしたいな、という思いはさらに強くなりました。でも具体的にどのような道があるのかわからず、いっそ卒業後はフランスに行こうかと思ったりもしました。そんな時に大学の就職課で国際交流基金に就職した先輩の話を読み、ここならやりたい仕事があるかも、と日本での就職を考え始めたのです。

まわりの人より少し遅めに就職活動をスタートさせたのですが、メーカーなどにはなかなか興味を持てず*2、「この会社に入って、やっていけるかなぁ」と不安気でいるとあまり面接も進まず・・・いつのまにか基金の面接(6月でした)を迎えていました。基金から内定をもらった時にはすごく嬉しかったですね。


面接では、他の企業と全然ちがっていて、卒論やフランスの話などの話をじっくり聞いてくれました。これから基金を受けようと思っている方がいらっしゃいましたら、自分の中に既にあるもの(今までの経験とか)をうまく伝えるように心がければ良いのではと思います。





Q2:基金に入社して1年たちますが、基金での仕事ぶりはどうですか?





入社してわずか1週間で配属され、よく言えばOJT、悪く言えば「泳げない子を海に突き落とす」かのように、いきなり自分の担当の仕事が始まります。

私は、出版・翻訳協力*3プログラムと、海外日本映画祭の一部地域を担当しています。もともと文学や映画が好きだったので、「映像出版」課に配属になった時には、こんなに希望通りでいいのかしら?と思ったくらいです。でも、すぐに気付いたことは文学や映画に関わる部署ではあるけれど、扱うのは基本的に日本の映画、日本の出版物である、ということです*4


「基金は日本文化の発信の為の仕事をしている」ということをわかってはいたのですが、なんとなく「外国との関わり」のイメージに引っ張られて外国の映画や外国の文学に関われるようなつもりでいたのです。私がずっと興味をもっていたのは外国文化だったので、(日本の出版事情はまだしも)日本映画の知識なんてゼロでした。映画の製作や配給のことも全然知らず、35mmプリントって何?というレベル。これは勉強しなくてはまずいなぁと思いました。それから大学の5年間でほぼ忘れてしまった英語も・・・。日常的に英語のメールやFAXを書きます。フランスの出版社相手だとフランス語で書いてしまったりもしますが。





1年たった今でも、知らないことが多すぎて、もっと学生時代に勉強したり本を読んだりしておくべきだったと思うのですが、ゼロだった1年前に比べればたくさんのことを学びました。他の多くの課と同じく、映像出版課の業務もプログラムごとにそれぞれ担当が決まっていますが、課の先輩方は本当になんでも知っていて、いろんな経験もあって、いつも助け船を出してくださいます。また、映画祭の準備をしていくうちに自然と監督や作品名を覚えていきますし、日本の新刊書や外国で人気の日本人作家の本を意識的に読んでいます。(もちろん、好きなフランス映画などはプライベートで楽しんでいます。)新しいことを学べる職場はいいですね。


おかげさまでなんとか1年を終えることができました。来年はもっと広い視点でがんばりたいなと思っています。あと、いつかフランス駐在になる日を期待して(?)春からは、フランス語の勉強を再開しようと思っています。





Q3:1日のスケジュールはどのような感じなのでしょうか?





一日の流れは、書くと無味乾燥な感じなので割愛。実際は、毎日9時半からずーっとパソコンに向ってメールのやりとりをしたり、資料を作ったり、会計処理をしたり、案件のスケジュール管理をしたり、という感じです。外勤や会議はめったになく、仕事で映画を見るようなことも残念ながらほとんどありません。読むべき本や見るべきビデオは家に持ち帰ることもしばしばです。





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そんなYさんの三種の神器は、電子辞書、紅茶、ミネラルウォーター。


電子辞書は英和・和英、仏和・和仏のみならず、難しい表現を調べるために広辞苑も活用しているそう。




*1:バックナンバーはこちら:国際交流の舞台裏~Vol.1海外事務所で働く醍醐味:堀川さんの場合~国際交流の舞台裏~Vol.2試験課Iさんの場合~国際交流の舞台裏~Vol.3駆ける職員たち:ランニング同好会のご紹介国際交流の舞台裏~Vol.4かつらこさんの場合~


*2:でも就職活動をしていく中でメーカーも国際的に活躍できるし、優れた技術が世界の人の生活に役立っていてすごいなーと見方が変わりました。その意味でも、就職活動は自分や社会を知るいい勉強になったと思います。


*3:19年度からは出版・翻訳(助成)となりました。


*4:アラブ映画祭など外国→日本のものもありますが、例外的。





Wednesday, April 4, 2007

MCJP10周年記念「必殺仕事人!パリ業務室で働く人々」(後編)



こんにちは、三富です。




皆さまお待ちかねのブログチームによるパリ業務室訪問記(本編)をお届けいたします。

前回を読み逃した方は、こちらをご覧ください。




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パリ日本文化会館の設立経緯から、開館10周年に向けた取り組みまで、みっちりブリーフィングを受けた私たち3人。いやはや、初めて知ることの連続に、終始感嘆してばかりでした。




(*'▽'*)わぁ♪  ビックリ!! (*゚ロ゚)ノ  オオーw(*゚o゚*)w




パリ業務室は、


パリ日本文化会館設立における民間支援の経緯を踏まえ、パリ日本文化会館の事業について民間支援を推進する組織として1998年7月に発足した「パリ日本文化会館・日本友の会」の事務局でもあります。





さて、前編でもキーワードとしてご紹介した、“日仏協力・官民合同”。




この官民合同の民の立場から「人」そして「お金」の面で、日仏交流に尽力してくださっているのが、まさにパリ業務室の方々なのです。




まず「人」については、民間企業からは手弁当で、パリ業務室をはじめ、パリ日本文化会館の事業部門にマンパワーのご支援をいただいており、日本とフランス(ひいてはヨーロッパ)との交流の促進を目指して、会館のスタッフと一緒になって働いています。




さらに「お金」の面では、日本友の会の会員企業の方々から多大な資金協力をいただいています。パリ日本文化会館で、数々の大規模事業が実施できるのも、このおかげ。そして、資金協力の取りまとめ役が日本友の会事務局なのです。




日本が海外に有する文化施設としては最大級のパリ日本文化会館。それを運営するためには、民の力が大きな大きな支えとなっていたんですね。




官民が合同で実施することの苦労話や、官民が協力してこそ成しえるパリ日本文化会館ならではの事業など、パリ業務室で働いている方々だからこそ語れるお話に、オレペコ、潮風、三富の3人は強く強く感銘を受けたのでした。




..(φ(。・c_,・。)φ))...フムフム  ((φ(・д・。)ホォホォ  c⌒っ ゚Д゚)φ.....




特に私は、「靴底をすり減らして精力的に民間企業をまわる」など、基本的にオフィスワークが中心の基金本部とは大きく違うパリ業務室の方々の仕事ぶりに印象を受けました。




先日ご紹介した、就職活動中の学生さんによるブログ『独座幽篁 とある薬師の備忘録』でも、官民問わず組織・企業の仕事についての知見を広めることの重要さを書いていらっしゃいます。


個人的には、今の間に「全然行く気が無い企業の人がどんな仕事してんのか」を理解しないと、一生しないままに忙しさにかまけて終わりそうな気がして、それはすごくよくないし、何かと何かを結びつけるアイデアのタネが狭まるように感じるんです。

独座幽篁 とある薬師の備忘録





私も入社から2年目を迎え、「仕事にもようやく慣れてきたかなぁ~」と思う傍らで、民間企業で働く友人と話をしたりすると、「国際交流基金のような公的機関と、民間企業の仕事の仕方や感覚は違うんだ (;´Д`A ```」という危機感や不安に襲われることもしばしばです。




官民の感覚をバランスよく保つことで、まさに“何かと何かを結びつけるアイディアのタネ”に広がりがでるんでしょうね。

今回のパリ業務室訪問で、そんな(個人的な)思いを新たにすることができました。




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ちなみに私、この前の出張でパリ日本文化会館にもお邪魔していました。ちょうどパリに到着した日は、小津安二郎監督大特集が開催中で、チケット売り場の前には大行列!1階ロビーには人が溢れ、もの凄い熱気に圧倒されました。

ぉお!!(゚ロ゚屮)屮 さすがOZU!



パリ市内にもマンガ喫茶*1ができたりと、伝統文化だけはでなく、JAPAN COOLの波もどんどんと浸食していますよね。




10周年を迎えたパリ日本文化会館はこれからもフランス、そしてヨーロッパにおける日本文化発信基地として、官民の協力のもと多彩な事業を展開していきます。

先日ご紹介した「棟方志功展」は終了してしまいましたが、5~7月の「アジアのキュビスム」展、「パリに学んだ日本の洋画家たち~黒田清輝から藤田嗣治まで~」(10月~2008年1月)の2つの大型展示が予定されています。また、来年は日本とフランスの本格的な交流開始から150年を記念して、「日仏交流150周年」に指定されており、日仏両国で様々な行事が行われる予定です。







”熱い”パリ日本文化会館に、今後もどうぞご注目ください!



*1:Manga Café:http://www.mangacafe.fr/




MCJP10周年記念「必殺仕事人!パリ業務室で働く人々」(前編)



こんにちは。三富です。


以前コンドルズは(いまごろ)とんでいる(かもしれない)(1月11日付)でもお伝えしたとおり、パリ日本文化会館(Maison de la culture du Japan a Paris, MCJP)は今年10周年を迎えました。





ヾ(´ー`)ノ。・:*:・゚'★,。・:*:・゚'☆ Felicitation・・・





パリ日本文化会館は、基金の海外事務所の1つではありますが、いやはや、、、それだけでは到底語りつくせない壮大なストーリーを抱えた組織なのです。





ちなみに、場所はエッフェル塔の近く、セーヌ川河畔という素晴らしい立地条件!!






手前味噌ながら、なんとパリ日本文化会館の入場者数は、  



パリには世界各国の文化会館が64あるが、中国などを抑えて入場者数はトップだそうだ。


宮城大学教授・久恒啓一ブログ日誌 今日も生涯の一日なり



ポリポリ (・・*)ゞ





このパリ日本文化会館を語る上で欠かせないキーワードが、日仏協力・官民合同。パリ日本文化会館は、実に多くの方々のご協力のもとに成り立っているのです。


基金本部内にも、パリ業務室というものがあり、その名のとおりパリ日本文化会館の運営を日本側でサポートする役割を担っています。





そこで、今回われわれブログチームの3人がパリ業務室にお邪魔しました。





*゚o゚)ノ*゚o゚)ノ*゚o゚)ノお邪魔しま~す





気になるパリ業務室訪問の様子は、また後日にお伝えすることとして、パリ日本文化会館では4月7日(土)まで、『棟方志功展―大原美術館コレクションより』を開催中!


お近くにお住まいの方、旅行などでパリにお立ちよりの方は、是非お越しください。





Tuesday, April 3, 2007

 第16号はロシア特集です(後編)~読書&ウェブ案内~






みなさんこんにちは、オレペコです。


昨日は年度始め、ということで、新たな一歩を踏み出された方も多いのでは? 


ヽ(゚・^*)^☆.。.:*・゚☆祝☆゚・*:.。.☆^(*^・゚)ノ


ジャパンファウンデーションにも、新しい仲間が11名加わりました。おいおい、このブログでもご紹介していきたいと思います!





さてさて、そんな春は、新しいことを始めたくなる季節でもあります。


近くて遠いロシア。昨日発売になった『遠近』第16号で特集した「お隣さん」について、もっともっと知るための読書&ウェブ案内(後編)が麦谷さんから届きましたので、早速ご紹介したいと思います♪





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◆ロシアの珠玉 リュドミラ・ウリツカヤ


巻頭鼎談でロシア文化の新しい動きと2度目の「日本文化ブーム」についてお話くださった沼野恭子さんが翻訳。『それぞれの少女時代』の中にあった、温かさを表現する一文で、「オーブンの中のピロシキのようにほかほかと」というフレーズに、おお、これがロシア流!と手を打ちました。特に女性にお薦めです!





『ソーネチカ』(新潮社)




ソーネチカ (新潮クレスト・ブックス)

ソーネチカ (新潮クレスト・ブックス)






 





『それぞれの少女時代』(群像社)



それぞれの少女時代 (群像社ライブラリー)

それぞれの少女時代 (群像社ライブラリー)










沼野恭子さんは、他にも様々なロシア文学の翻訳を手掛けてらっしゃいます。





『ペンギンの憂鬱』(アンドレイ・クルコフ著、新潮社)



ペンギンの憂鬱 (新潮クレスト・ブックス)

ペンギンの憂鬱 (新潮クレスト・ブックス)










『初恋』(トゥルゲーネフ、光文社)




初恋 (光文社古典新訳文庫)

初恋 (光文社古典新訳文庫)






 





◆不世出のロシア語通訳、エッセイスト米原万里さん


昨年5月に56歳の若さで逝去された米原万里さん。日経新聞の元論説委員で、現在も日露のジャーナリスト交流に尽力されている斎藤哲さんが、米原さんのデビュー時代のとっておきの逸話をお寄せくださいました。米原さんは名通訳として活躍されただけでなく、鮮やかなデビュー作『不実な美女か貞淑な醜女か』をはじめ、エッセイストとしても数多くの名作を送り出されました。





『不実な美女か貞淑な醜女か』(文庫、新潮社)



不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か (新潮文庫)

不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か (新潮文庫)










『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(文庫、角川書店)



嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)










『打ちのめされるようなすごい本』(文藝春秋)



打ちのめされるようなすごい本

打ちのめされるようなすごい本










◆ 5月には庄司紗矢香、読売日本交響楽団と競演のテミルカーノフさん


当基金の参与でもある紿田英哉が商社勤務時代から「マイブラザー」と呼び合う仲になったマエストロ、ユーリ・テミルカーノフさんが、サンクトペテルブルク建都300周年を記念して、2003年6月に指揮したサンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団のガラコンサートの模様を収録





DVD 『サンクト・ペテルブルク ガラコンサート2003』



サンクト・ペテルブルグ ガラコンサート2003 [DVD]

サンクト・ペテルブルグ ガラコンサート2003 [DVD]










◆インターネットでロシア文化に触れよう


ロシア語のページもありますが、WEBページの自動翻訳サービスを使えば、ある程度は情報を把握できます。まずは雰囲気だけでも味わってみてください!


本誌10ページでもご紹介したリンク集に加え、「新しいカルチャーが胎動するモスクワ」から、選りすぐりのサイトを拾っています。この充実した情報は、河東哲夫さんからの情報に負うところ大でした。記して感謝申し上げます。





【音楽】


・イケメン男性歌手からセクシーなダンスクイーンまで、最新のロシアン・ポップスのビデオクリップがいっぱい (^^)σ http://vision.rambler.ru/clips


クラブ・ミュージックからロック、ポップスまで様々な音楽をサンプル音源で視聴可能


(^^)σ http://www.fidel.ru/mp3/


・民族音楽を取り入れた独自のロックを創造するインナ・ジェランナヤ


(^^)σ http://inasound.ru/ 


・アンダーグラウンドの香りを濃厚に漂わせ、同名のグループを率いるカリスマ的な女性ヴォーカリストのゼムフィーラ (^^)σ http://www.zemfira.ru/


・ロシアに独特のジプシー・ロマンス歌手の第一人者で、フリージャズ界での活躍でも知られるヴァレンチナ・ポノマリョーヴァ


(^^)σ http://www.russiandvd.com/store/person.asp?type=artist&id=1460&lang=eng 


・「バルド」と呼ばれるギターで弾き語りをするシンガーソングライターたちが勢ぞろい


(^^)σ http://www.bard.ru/bards.htm





【放送】


・インターネットでニュース、ドラマ、音楽番組まで24時間放送


(^^)σ http://www.rtrplaneta.com/


・独立系の硬派な時事番組で知られるラジオ「モスクワのこだま





【ファッション】


・中央アジアの民族衣装、画家ワシーリイ・カンジンスキーなどをモチーフに、ロシアや旧ソ連のアート・文化を強く意識しながら現代的なデザインで世界的に活躍するダーリヤ・ラズミーヒナ (^^)σ http://www.razumikhina.com/ 



【クラブ】


・モスクワで最も流行っているクラブの一つ「シャンティ」。収録されたライブの模様や、独自のラジオ番組も聞けるようになっています








◆ロシア語でカバーされた「島唄」はラジオ・チャートで6週連続ランクイン


2005年2月に宮沢和史さん率いる「宮沢バンド」モスクワ公演では、ロシアのロックスター ディアナ・アルベニナと共演。世界的な大ヒット曲「島唄」で締め括ったライブでは観客も大合唱し、地響きのようなアンコールで再熱唱したそうです。宮沢さん自らがブログで、初日のゴーリキー記念モスクワ芸術座、翌日のモスクワ最大のクラブ「べー2」でのライブでの様子を綴ってらっしゃいます。





◆沿ボルガ地域で日露ビジネス交流


ニジニ・ノヴゴロドという地名はご存じですか? モスクワから東へ450キロ。ソ連時代はゴーリキー市と呼ばれた閉鎖都市で、軍需優先の最大の製造集積加工地でした。日系電器メーカーマンとして長年ロシアビジネスに携わり、現在はニジニ・ノヴゴロド日本センターの所長として日露の民間経済協力に奔走する種村博雄さんは、厳重に機密保守された原爆開発拠点、ロシアへのトヨタ進出秘話、シベリア鉄道の近代化プロジェクトなどについてお寄せくださいました。写真はロシア第2の自動車メーカーGAZの生産ラインだそうです。


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◆ロシアの日本文学専門出版社


出版社ギペリオン(サンクトペテルブルク)の代表セルゲイ・スモリャコフさんは村上春樹だけでなく、ロシアでは古典から現代文学まで、様々な日本文学が読まれていることを報告してくださいました。


国際交流基金とイノストランカ社の共同出版で刊行したロシア語の現代日本文学アンソロジー・シリーズや、文化庁(日本)の「現代日本文学の翻訳普及事業」(JLPP)の紹介もあります。





◆もうここまできたら、ロシア語を始めよう!


沼野恭子さんが、この4月から新しくスタートする、NHK教育テレビの外国語講座「ロシア語会話」の講師を務められます。春は新しいことを始める好機!とばかり、書店に平積みになっているのを目撃した方も多いはず・・・。





雑誌 NHK テレビ ロシア語会話 2007年 04月号


番組HPもあわせてどうぞ。





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最後に編集部からのご案内です。


主に過去に『遠近』にご寄稿くださった方の近著などをご紹介します。


◆ オーストラリア演劇叢書が11巻を数えました


オーストラリアを特集した第11号で、アデレード・フェスティバルの創造性についてご寄稿くださった佐和田敬司さんが、翻訳書『アボリジニ戯曲選Ⅲ ドリーマーズ/ノー・シュガー』(ジャック・デーヴィス)、『リターン ダーウィンへの最後のタクシー』(レグ・クリッブ)が出版されました。


オセアニア出版社から1993年に刊行が始まったオーストラリア演劇叢書の第10巻、第11巻で、昨年の日豪交流年を契機に開催中の「ドラマチック・オーストラリア」で紹介された戯曲の数々が収録されています。





◆ 「ハコモノ行政」からの脱却をめざして


毎号「文化による都市創造」シリーズを連載でお届けしていますが、第5号に「創造都市の世紀が始まる」として欧米の代表的な創造都市論と金沢や横浜の事例を紹介してくださった佐々木雅幸さん編集の『創造都市への展望~都市の文化政策とまちづくり』(学芸出版社、総合研究開発機構との共編)が4月10日に発行予定です。

第1部「創造都市をめぐる理論とガバナンス」では、「創造都市」の基本概念、財源確保、評価指標などの手法・理論を示し、第2部「政策実践の現場から」では、札幌から福岡まで創意と工夫に満ちた各都市の戦略が報告されています*1





◆弊誌編集長の渡邊直樹が責任編集


「宗教を知らないと問題の本質は見えてこない」の宣伝文とおり、養老孟司、中沢新一、小林よしのり、高村薫など多数の学際的な書き手が、宗教と現代の社会問題を切り結んでいます。





『宗教と現代がわかる本2007』(平凡社)



宗教と現代がわかる本〈2007〉

宗教と現代がわかる本〈2007〉










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次の6月号は、 「酒がつなぐ人と文化」 (仮題)です。古今東西、酒を酌み交わすことで、人は交友を深めてきました。各地の風土が育んできた酒も、今やグローバルに流通しています。酒と人との出会い、酒がもたらす豊かな文化、そして酒が熟成するために大切な時間。今年1月に着任した新編集長の渡邊直樹が企画から手掛ける最初の号です、酒と人の文化のブレンド具合に注目した次号に乞うご期待!




*1第9号に「現代における都市再生の課題~行財政システムと創造性の関係」をお寄せくださった後藤和子さんによる「創造性へのインセンティブと都市政策~文化政策と産業政策の統合の視点から」も収録されています。





Monday, April 2, 2007

第16号はロシア特集です(前編)



すっかり桜の季節(東京)ですね。2ヶ月ごとの『遠近』(をちこち)刊行ごとに現れる情報センターの麦谷です。今回は  「隣人、ロシア」 と題して、ロシアの特集です。





政治・経済レベルでは、長年懸案の北方領土問題、そして、サハリン石油開発、リトビネンコ事件など、ここしばらくは、あまり明るいニュースを聞かないロシアですが、何と言っても日本海を挟んで実は隣国。


「お隣さん」とは仲良くしたいものですが、その割には、お互いに、現在の生活事情を共有できていないのでは?





日本人にとってのロシア文化⇒文豪、クラシック・バレエ⇒重くて古い、


ロシア人にとっての日本文化⇒フジヤマ、ゲイシャ⇒エキゾチック、





というステレオタイプなイメージを塗り替えるには、何事も互いに生身の姿を知るのが第一歩!


ということで、等身大のロシアを紹介する楽しい記事が盛り沢山ですので、是非、お読みいただければと思います。また『遠近』らしく、いろんな分野で日露交流に尽力した人についても特集しています。





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○ 巻頭鼎談 ロシア文化の新しい動きと2度目の「日本文化ブーム」


河東哲夫×沼野恭子×日下部陽介


○ 新しいカルチャーが胎動するモスクワ


○ 人気推理作家にして日本文学者 ボリス・アクーニンに聞く 


  聞き手 沼野充義


○ アニメーション作家 ユーリー・ノルシュテインに聞く 


聞き手 児島宏子



特集以外でも、島田雅彦さんが初めてのイラン滞在を綴った「テヘラン小景」、藤井省三さんが村上春樹の中の中国に着目して論考した「魯迅と村上春樹」など、読み応えのある記事を多数、お届けしています。





その他の記事については、目次をご覧下さい。Amazonなどの主要オンライン書店で取扱っている他、お近くの書店でお取り寄せが可能です。それでは、今回も、『遠近』をより深くお楽しみいただくために、記事や執筆くださった方に関連した読書&WEB案内をお届けします。





◆日本の「含蓄の美学」に影響を受けたベストセラー作家


人気推理小説家にして日本文学者のボリス・アクーニンさん。沼野充義さんのインタビューに応じて、日本との出会い、ロシアの現状と未来、日露交流などについて語ってくださいました。


アクーニンさんの代表的な作品、19世紀末から20世紀初頭を舞台にした歴史探偵小説「ファンドーリンの捜査ファイル」シリーズはロシアで大ベストセラーとなり、これまでに11冊が刊行され、映画やテレビドラマにもなっています。日本語では、巻頭鼎談の沼野恭子さんらが翻訳した3冊を読むことができます。





『堕ちた天使―アザゼル』(作品社)第1作



堕ちた天使―アザゼル

堕ちた天使―アザゼル










『リヴァイアサン号殺人事件』(岩波書店)


主人公が外交官として日本へ赴任する途上の豪華客船での密室殺人事件を描いた第3作







『アキレス将軍暗殺事件』(岩波書店)


柔術の達人のシバタ・マサヒロが登場する第4作







本名のグリゴーリイ・チハルチシヴィリで、世界の作家の自殺について論じた著書も。


『自殺の文学史』(作品社)







(゜-^*)σ アクーニンさんの公式HPは、ロシア語ですが犯罪のプロファイリングのような雰囲気満載です。筆名「アクーニン」の命名の秘話については、是非、本誌記事で!





◆蕪村の俳画を愛するアニメーション作家


表紙を飾った「こぐま」と「はりねずみ」、その愛らしい姿に見覚えがある方もいらっしゃるのでは? 手書きの切り絵を少しずつ動かして撮影するアニメーションの元祖とも言える手法で作品を制作するユーリー・ノルシュテイン監督。来日の度に通訳も務める児島宏子さんがインタビュアーとなって、日本映画や日本文化について、25年来製作中の『外套』の進み具合などについてお話を伺いました。





DVD 『ユーリ・ノルシュテイン作品集』


代表作の一つ『霧につつまれたハリネズミ』も収録されています。



ユーリ・ノルシュテイン作品集 [DVD]

ユーリ・ノルシュテイン作品集 [DVD]










絵本『きりのなかのはりねずみ』


↑で紹介した短編アニメーションの傑作『霧につつまれたハリネズミ』をもとに、児童文学作家セルゲイ・コズロフさんの物語に、アニメーション美術監督でノルシュテイン監督の創作パートナーであり夫人でもあるのフランチェスカ・ヤルブーソヴァさんが絵を担当した素敵な絵本です。弊誌の編集長の渡邊もこの本を見たとたんに、表紙はこれだ!と即決でした。







DVD 『連句アニメーション 冬の日』


松尾芭蕉七部集「冬の日」の連句を、高畑勲、鈴木伸一を始めとした世界屈指のアニメ作家35人のコラボレーションによりアニメ化した大作で、ノルシュテイン監督も参加しています。



連句アニメーション 冬の日 [DVD]

連句アニメーション 冬の日 [DVD]










みやこうせいさんによる写真集


『ユーリー・ノルシュテイン』



ユーリー・ノルシュテイン

ユーリー・ノルシュテイン










◆ 人間味あふれるロシア人とロシア社会の一端をのぞく


外交官としてのべ11年にわたるモスクワ勤務経験を踏まえ、インターネット時代の日露交流について様々な提言をくださった河東哲夫さん。外交官としての知見をまとめた著書の他に、熊野洋のペンネームで、ロシアを舞台にペレストロイカからソ連崩壊前後の激動期の社会を描いた大河小説も。





『ロシアにかける橋―モスクワ広報・文化交流ノート』(かまくら春秋社)




 


『外交官の仕事』(草思社)



外交官の仕事

外交官の仕事










『意味が解体する世界へ 一外交官の考察』(草思社)







『遙かなる大地―イリヤーの物語』(草思社)


遙かなる大地―イリヤーの物語〈第1部〉    遙かなる大地―イリヤーの物語〈第2部〉





(゜-^*)σ 河東哲夫さんが主宰するブログ Japan-Worlds Trendsでは、日英中露4ヶ国語で国際問題や共通課題について様々なオピニオン・リーダーが白熱した議論をオンライン上で戦わせています。


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読書&ウェブ案内はまだまだ続きます。後編は明日掲載しますので、お楽しみに!