Tuesday, February 26, 2008

冬の越後を旅してきました。



こんにちは、みかんです。2月ももうすぐ終わりですね。


我が家では梅の花が咲き始めました。





都内では春の足音も近づいていますが、実は先週末、まだ真冬の新潟に行ってまいりました!この寒い季節に一体何をしに…?




越後妻有トリエンナーレってご存知でしょうか。簡単にいうと、アートによる地域活性化の取り組みです。三年に一度、十日町、中里、津南、松之山、松代、川西という6つのエリア(なんとその広さ、760平方キロメートル)で展開される現代美術の祭典で、2006年には第3回の越後妻有トリエンナーレが開催されました。*1


トリエンナーレは通常夏の時期に開催されるのですが、今年は2月に冬のアートツアーというイベントがあり「これは面白そうだ!・・・」思い切って休暇で訪ねてみることにしたのです。








こんなに雪が深いとは!


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バスに乗っていると、こんな雪景色が延々と続くんです。


雪に慣れていない私たちは、移動だけでも大騒ぎ。現地でお借りした長靴を履き、こわごわと雪の坂道を歩きます。


そんななか、心あったまるのが、なにより集落の元気な皆さんとの触れ合いだったんです。どこに行っても「さあどうぞどうぞ、入ってください。」という雰囲気で、旅行者の私たちをもてなしてくれます。


地元は高齢者が多くなっていて、屋根で雪掘りをしている方を見ても、若い人は本当に少ない。おじいちゃんやおばあちゃんが、いわゆる「現代アート」に誇りと親しみを持って、訪れた者を案内してくださるのです。かつて自分の通った小学校や同じ集落の住民がいた民家――きっといろんな思い入れのつまった空間なのだと思います。放っておいたら見捨られてしまったかもしれない場所。そこには今、アートによって再生されたことに喜びを感じる表情がありました。





こんなワークショップを体験しました。


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アートツアーは、かまくらを使ったピンホールカメラ、雪原を橇で走るプロジェクトなど、建築をはじめ冬でも楽しめるスポットを数箇所見て回ったのですが、面白かったものの一つが空家を改修した写真館。


写真家の倉谷拓朴さんが遺影を撮影してくれるんです。


スタジオはこんな感じ。生きているうちに自分の遺影を取ってもらう、近しい人たちに見つめられる自分の姿を想像する、そんなことなかなかないですよね!アーティストたちの作品は、私たちが日常気づかずにいるような、新鮮な感覚を呼び起こしてくれたように思います。





文化交流について、少し考えてみたこと。


ジャパンファウンデーションでの仕事を始めてから、色んなところで質問を受けることがあります。修学旅行の生徒さんから、企業から、NGO団体から、世間から、友人や家族からも、です。


「なぜ文化交流なの?」極端な場合は「食べ物や医療、教育も十分に保証されていない人が世界にはたくさんいるのに、文化に税金を?」と厳しく突きつけられることもあります。「文化や芸術って、所詮余裕があるからできるんじゃないか…?」「役に立ったか、貢献したのか、数値にならない価値をどうやって評価するのですか?」と聞かれることもありました。


どれも、ジャパンファウンデーションはじめ、文化交流に携わる者が真摯に考え続けなければいけなければならないことだと感じています。


なぜこんなことを書いているかというと・・・今回越後妻有を訪れて、アートの持つチカラを改めて肌で実感したのです。


ツアーのガイドさんからは、トリエンナーレの始まった頃は、現代アートなんてわけもわからず、作品設置にも反対する集落が多かったと聞きました。しかし、今では人々によってアートがその地に根づき、地域がアーティストによって再発見されている。それは、一度妻有を訪ねれば、きっと皆さんにも感じていただけます。


共感が広がるアートだからこそ人と人が結びつく。


そんなところにも、まだまだ文化の可能性があるんじゃないかな、と思った旅でした。








都市や地域に活力を与えるアートについて、ジャパンファウンデーションでは、


都市を刺激するアート」と題したイベントを行います。


入場無料、詳細はこちらのサイトをご覧下さい。皆様のご来場お待ちしております。





日時:2008年3月9日 日曜日 13時30分から17時(予定)


会場:金沢21世紀美術館




*1:ちなみにジャパンファウンデーションではその功績をたたえ、アートディレクター北川フラムさんを2007年の国際交流奨励賞として表彰させていただきました。





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