Saturday, February 9, 2008

文化担当官の休日-おまつり大好きセネガル人 その1「おまつりは文化の多様性を映し出す」






みなさまお久しぶりです、オレペコです。


大統領選で沸くアメリカ(NY, LA)出張から帰ってきて約一週間。現地のスタッフに、「ちょっと、大統領選の様子、書いてくださいよ~」とおねだりしてまいりました(!)ので、間もなく現地からの報告記事が載せられる予定!!!乞うご期待





さて、その前に。


本日から3回の連載で、イスラムの伝統行事「犠牲祭」の様子を、セネガルからの生き生きとした現地レポートでお届けしたいと思います。第1回目の今日は、 「おまつりは文化の多様性を映し出す」と題して、「おまつり」の背後に見え隠れするセネガルの人々の感性や、広く生活に根付いている”多文化共生”の様子をお送りします。ではでは、どーぞ\(^^)/





:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: (←セネガルの国旗の色を使ってみました~)




f:id:japanfoundation:20080126172942j:image:right前回、「文化担当官のおしごと」をご紹介*1してから、あっという間に9ヶ月w|;゚ロ゚|w がたちました。その間、ダカールでアフリカ初の国際ペン総会が開催されたり(ペン史上最大にして空前絶後、怒涛の3時間遅れの開会式)、「チェド」、「母たちの村」などの作品で知られる映画監督センべーヌ・ウスマンが亡くなったりと、2007年は何かと文化の話題の多い年でもありました。アフリカ音楽の振興と音楽家の保護・育成に多大な貢献のあったママドゥ・コンテも、志なかばにして亡くなりました。ママドゥは私が14年前、初めて友人とともにセネガルを訪れたとき空港で迎えてくれ、セネガル文化の計り知れぬ豊かさを教えてくれた人でもありました。





明けて2008年はTICAD IV(アフリカ開発会議)開催年かつアフリカ交流年。TICAD(Tokyo International Conference for African Development)は5年に一度開催、アフリカ各国元首をはじめとする世界中のアフリカ関係者が一堂に会する国際会議です。今年は、アフリカが潜在的に持っている豊かな生命力と文化力を「元気なアフリカ」として日本に紹介することが大きな目的のひとつ。サイドイベントとして、セネガルの太鼓グループのコンサートをはじめとする、さまざまなイベントが予定されており、5月の横浜はアフリカ一色となりそうな勢いです。わがダカールでも日本企業の協賛を得て、日・アフリカ太鼓奏者による競演を4月下旬に開催できる見通しとなりました。この春は、日本で、アフリカで、躍動するアフリカの「文化の生命力」の炸裂を期待したいものです。





f:id:japanfoundation:20060627202732j:image:rightさて、おしごとの話はこれくらいにして、今回はセネガルの「おやすみ」のことをご紹介しましょうo(*^▽^*)o~♪

いやはや、セネガル人ほど年中何か祝ってる国民もいないんじゃないか、というくらい、彼らはおまつり大好き。それ結婚式だ、赤ちゃんの命名式だ、と家族親戚のお祝い事もさることながら、公休日の多いこと多いこと*2。国民の9割がイスラム教徒ですが、クリスマスも聖母昇天祭も復活祭も、しっかり休みます。もちろんイスラム新年もマホメット誕生日もイスラム犠牲祭も、みんなみんな休みます。

ホテルやレストランの従業員、タクシーの運転手など休日に休めない職業では、イスラムのお祭りの日はキリスト教徒の同僚が働き、キリスト教のお祭りの日にはイスラム教徒の同僚が働く、というような互助システムもさりげなく成り立っているとかw(゚o゚)w オオー! 。また、セネガルではカトリック系の団体が学校を経営することも多いのですが、その生徒の大半はイスラム教徒。学校側も改宗を強制するようなことはせず、あるがままに受け入れて教育をしているので、学校内でも自然とふたつの宗教の文化や習慣が(そしてもちろん休日も)共存しているとききました*3





教間の対話と文化多様性。


このふたつがきわめて日常的に自然に成立するのは、セネガル人の持つ、争いを避ける知恵としての「前向きのいいかげんさ」と、異質なものも柔軟に自分たちの社会に組み込もうとする「明るいおせっかい」な感性によるところが大きいと思います。こうした享楽的適応性が、これまでも社会内部の紛争の発生を抑制してきた、といえるかもしれません。セネガル人が伝統的に争いを好まず、歴史上虐殺やクーデターがほとんどなかった、というのもこうした文化的柔軟性によるのではないでしょうか「冗談関係」がその好例で、ある特定の民族同士、氏名同士、家族構成員同士はどんな失礼なことを言ってもケンカにはならない、という暗黙の了解が存在しており、だれかが一緒にいれば、必ず何らかの「冗談関係」が複数成り立つので、その場での争いを未然に防ぐことになっている、といいます。こうした感性については、初代大統領サンゴールの提唱したネグリチュード(黒人性)などでも述べられていますが、多民族・多宗教・多言語が錯綜するセネガルならではの処世術であるといえましょう。





理屈はさておき、どの民族もどの宗教も、おやすみがうれしいことに変わりはありません(゚ー゚)(。_。)ウンウン。とりわけ一般市民にしてみれば、もらえるもんなら夏でもストーブ、休めるんならいつでも歓迎、といったところ。かてて加えておまつりは、生活の潤い、共存の証し、家族の絆・コミュニティの絆の再確認の晴れ舞台。それならみんなで楽しんじゃおう、とあくまで明るいセネガル人なのであります。


(つづく)




*1:セネガルでの業務の様子を2回に亘ってお届けしました。Vol.1はこちら、Vol.2はこちら


*2:実は日本も負けないくらい多いんですけどね


*3:ちなみに写真は「貝殻島」という島で、セネガルで唯一キリスト教徒とイスラム教徒が一緒に埋葬されている墓地があることでも知られています





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