Thursday, December 25, 2008

世界のクリスマス2008 ~マレーシアの場合~









☆”*。今日は12月25日クリスマスですね。* ”☆




蟹江が小学生のころ、クリスマス・プレゼントは自転車が欲しい!!といったら、

「うちは、神道で、キリスト教じゃないから、クリスマスにプレゼントはないよ」とあっけなく言われました。(涙)

ところで、他のアジアの国はどんな風に過ごすのかしら・・・?

早速、イスラム教、ヒンズー教、キリスト教、仏教と色んな宗教を持つ人々が住む国、

クアラルンプール日本文化センターにお伺いしてみました!







マレーシアは多民族の国*1 で、キリスト教徒の人口は10%に満たない*2 のですが、クリスマスのこの時期、ショッピングモールなどの商業施設は日本に負けないくらいクリスマス一色になります。

f:id:japanfoundation:20081225183415j:image←とf:id:japanfoundation:20081225183414j:image←は、

一時期世界一高かったペトロナスツインタワーの足元にあるKLCCというショッピングモールの吹き抜け広場のツリーですが、

これ、地下1階から地上4階までを貫通していて、多分国内最大のクリスマスツリーだと思われます。

因みにこういうショッピングモールの飾りつけは、イスラム教の断食明け、中華系の中国正月、ヒンズー教のディーパバリと、季節ごとのイベントに併せて色んなものが登場し、クリスマスだけが特別というわけではありません。

ここからは、クアラルンプール日本文化センターに隣接する、Megamallというショッピングモールで撮った写真です。f:id:japanfoundation:20081225183413j:image



この写真なんか、「これでもか!」と言わんばかりに量で勝負してます。




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↑は、多分中東からの外国人観光客と思われます。実は、マレーシアは中東からの観光客が結構多くて、7-8月のピークシーズンには黒ずくめの女性を至る所でよく見かけます。

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コーヒーショップの店員さん

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はMegamallのコンシェルジュ・カウンターのスタッフで、

多分皆さんマレー系(=イスラム教徒)と思われますが、サンタ帽を被っていたので「写真撮らせて」と言ってみたら、気軽にポーズを取ってくれました。イスラム教徒の同僚に聞いてみたところ、サンタ帽を被るのはについては宗教的に問題ないようです。

Megamallでは発見出来ませんでしたが、トゥドゥン(女性のイスラム教徒が被るスカーフ)の上からサンタ帽を被っているのを見た、という証言もあります。

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↑これは、ブティックの店頭のマネキンですが、こういう格好をして歩いている人は見かけません。

念のため。f:id:japanfoundation:20081225183407j:image←これは、

モールの中をきょろきょろしながら歩いていて発見したカップル。

男性が着ているのは、宮崎県の某草野球チームのユニフォームです。

クリスマスと何の関係もありませんが、気になったので「今、マレーシアの中の日本をテーマに写真を撮ってるんです」との口実に写真撮影をお願いしたところ、気軽にポーズをとってくれました。




マレーシア、いやぁ本当にいい国です。




因みに、先日キリスト教徒の友人宅を訪ねた際には、ドアにリースが飾ってあり、

家の中には小さなツリーと、たくさんのクリスマスカードが飾ってありました。

以上、まとまりがありませんが、マレーシアのクリスマス事情でした。





ふむふむ、マレーシアのクリスマス、なんとも楽しそうですね!!

宗教を問わず、イベントを楽しむその広い心、是非ともあやかりたいです。(そして、蟹江の両親にも是非伝えたい・・・)

日本は、12月24日のクリスマス・イブにメインにお祝いしますが、

本日25日がクリスマス本番です。

ちなみに、スーパーではクリスマスケーキがディスカウントで売っておりました!

今からでも宗教を超えて、楽しくお祝いするのもいいかもしれませんね☆



*1:マレー系(66%)、中国系(約26%)、インド系(約8%)、その他(1%)(在マレーシア日本国大使館ウェブサイトより)

*2:宗教別の人口:イスラム教徒59.1%、仏教徒20.2%、キリスト教徒9.1%、ヒンズー教徒6.5%(JISMOR, No. 1, 2005)




Monday, December 22, 2008

文化でつなぐ平和への想い









かなり久々の登場、しろうさぎです。


(新しい読者の方はご存じないかと思いますが、このブログの初期チームメンバーで、その頃はブログ上でもブイブイ言わしていたんですが(?)、最近はすっかり遠ざかってました。)


このたび、縁あって、蟹江ちゃん担当の部署の事業を勉強のために覗かせてらうことができて、


「か、感動・・・」と思っていたところ、「その報告をブログに書いて!!」とお願いされましたので、遠慮なく、書かせてもらうことになりました。








* * * * *


時は、師走かつクリスマス前。しかも金曜夕方。人々が浮き足立つころ。


正確には、12月19日、午後3時。


四谷三丁目の国際交流基金本部ビル2階には、なにやら不思議な陶器の数々が並んでいます。


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日本の『埴輪』も髣髴とさせる、素朴で、温かみのあるこの作品たち。


日本の若手作家の作品?試作品?なんだろう?








なんと、これはアフガニスタン イスタリフ村から来日した


若き2名の陶工(ヌール・アフマッドさんとアブドゥル・マティンさん)が、20日間の日本滞在中に、焼いた陶器なのです。


お皿や器しか製作した事の無いイスタリフ焼では初めての大きさ・初めての造形だそうです。


彼らは、12月上旬に国際交流基金(ジャパンファウンデーション)の招きによって、来日しました。


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担当したKさんによると、これは2005年に行われた事業のフォローアップだったそうで、2005年は、計15名が来日、視察中心で陶芸の里などに行ったそうです。


今回は、前回来日者のうちの最若手の2名が呼ばれました。


目的は、


1.日本の陶芸の技術と伝統を、アフガニスタンの陶芸の発展に役立ててもらうこと、


2.陶芸という芸術文化における日本・アフガニスタンの協力構築、だったとのことです。


しろうさぎ自身は、現在、「紛争後の地域における平和のために文化事業が果たしうる役割とは何か」というテーマで、来年初夏に行うシンポジウムを準備していることもあり、今回は、Kさん率いる、このプロジェクトを勉強のために報告会を覗いてきたわけです。


印象は、


1.同じ陶芸という分野で通じ合える、


2.一見、細かいところ、地味なところから、感謝される協力関係が作れる、?続けてゆくためのハードルを如何に越えてゆくかは、担当者の力量・気持ちにずいぶん関わってくる(その意味でも、今回のご担当、Kさん、他の方、お疲れさまです!)。








・・・ただ、わたくし、焼き物についての知識はまったくの素人なので、間違いがないように、と願いながら、書いてゆきます・・・


受け入れにご協力をくださった、永岡泰則先生(岐阜県恵那市串原・李朝陶磁)は、ガス窯による焼き方を今回の研修内容に選んだ理由として、以下を挙げてくださいました。


【永岡先生】・ イスタリフ焼には、体に有害とも言われる鉛が多く検出されてしまう。現在の焼成温度は薪による窯のため焼成温度が900度ぐらいまでしか上がらないが、ガス窯にすることにより1100度以上に上げることが可能となる。高温で焼き上げることは鉛分の検出を防ぐことにも繋がり(鉛分検出の原因は他にも土・釉薬も考えられ、一長一短には改善出来ないが、ガス窯の導入は一つの改善点である。)また現在抱えているイスタリフ焼きが脆いという欠点も改善することが出来る。


・ アフガニスタンではプロパンガスが少しずつ普及してきて、金額もだんだんと安価になってきている。ガスを使えば、従来の薪を使用する窯の場合に問題になっていた、森林伐採をしなくてすむ。エコロジーにも適している。


つまり、日本のものを教えるというスタンスではなく、あくまでも、アフガニスタンの役に立つものを、日本が持っている多くの技術の中から、選らんで、カスタマイズして、伝える、ということなんですね。だからこそ、相手の国にも、長期的な結果を残すことをより期待できる、というわけですね








☆ ☆ ☆ ☆ ☆


さらに、会の終了後、受け入れてくださった、もう一人の先生、白潟八洲彦(しらかた・やすひこ)先生(愛媛県砥部焼伝統工芸士、一級技能士)と立ち話をすることができました。


おもしろいお話・・・・!


【白潟先生】


「日本の田んぼの『田んぼ足袋』が、アフガニスタンの彼らから見ると、焼き物の土をこねるときに、かかとを守ってくれて、とってもいいって言うんだ。ゴム長靴は、底が強すぎてダメ。足袋がちょうどいいらしい。彼らも買って帰った。高価なものや、最先端技術ではない。一足950円。こんな形で、意外なものが役立つ。感謝される。」


(足袋が、アフガニスタンの陶器を焼く現場で役に立つなんて、おもしろいですね!)


そしてそして、感動したお話・・・!!!!!



【白潟先生】「





今、新しい技術を守っておけば、必ずや、また平和が訪れたときに、海外にもこれだけ知られている場所だから、イスタリフの工芸品を求めて、多くの人が外国からも訪れてくれるものと確信している。


その日のために、今、やっていることが、将来、遠い先にでも、今回来日したヌールさん、マティンさんをはじめ、皆さんの手と記憶を通じて、残っていってくれれば、何か残すことができるのではないか。」





・・・・聞いているこちらも、心がふわーーっと、熱りました。


師と仰がれる方の大きさが伝わってきます。








すでに、2人の師匠と、師弟愛を築きはじめた、陶工たちの友情・愛情。


いつの日か、平和で豊かなアフガニスタンの地に、工芸品が栄え、人々の心を豊かにし続けることを願ってやみません。








もちろん、復興は、決して簡単に達成されるわけではありません。


報告会でも、課題として、伝統技術の維持と現代にあわせた変化をどうやって折り合いをつけてゆくのか、と言う点があがっていました。


また、当日言及はありませんでしたが、どのようにして彼らの自律的な発展を目指した出口(EXIT)計画を実施者として作るか、なども重要な点でしょう。








これら、簡単な答えのない難点を含みながらも、まずは、ひとつの事業が遂行されたこと、


参加者が笑顔でプログラムを終え、何度も「ありがとう、Thank you」と繰り返していたことを心に留めていきたいと思ったのでした。








東京のオフィスにいつつ、世界の平和と復興に思いを馳せた1時間でした。


町中が「ハッピー」になるこの季節。皆さんも、世界中の、遠くて近い人たちとの将来について、少し考えてみませんか。


しろうさぎ





Friday, December 19, 2008

ワンワールドフェスティバル



この週末、12月20日(土)10時~17時、21日(日)10時~16時、大阪市上本町8-2-6の大阪国際交流センターで、毎年恒例のワンワールドフェスティバルhttp://www.interpeople.or.jp/owf/index.php


が開かれます。多くのNGO/NPOや教育機関、国際機関、政府機関など様々な団体が参加します。当然、国際交流基金も参加します。


関西にお住まいのみなさま、どうぞおこしください。


国際交流基金は、パネル展示の他、20日(土) 15時~17時に、「日本語教師びっくり異文化体験?」と題して、 クイズ&トークイベントを開催します。世界の日本語教育の様子や国際交流基金の日本語教育事業について、関西国際センターで海外からの研修生に日本語を教えており、海外での指導経験も豊富な日本語教育専門員がご紹介します。海外での日本語教教育や日本語教師の仕事に興味のある方はぜひご参加ください。





Wednesday, December 17, 2008

ステレオタイプを乗り越えろ!






ベトナム出張から戻りました久保田です*1





先日の記事でもとりあげたTBSラジオ・ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル。所用で13日(土)の放送を聴くことができなかったのですが、番組ホームページを見たら、なんと「シネマランキング2008」でシークレット・サンシャインが1位になっているじゃないですか!





そもそも番組で宇多丸さんが激賞しているのを聴いてから観にいっているわけで、結果として先日の記事に書いた「2008映画 個人的ベスト5」でプッシュしたシークレット・サンシャインが1位になったからといってどうってこともないといえばどうってことないのですが…。




まあともかく、本当にいい作品なんで*2、しつこくリマインドします。シークレット・サンシャインは、12月19日(金)まで高田馬場の早稲田松竹でリバイバル上映中です。もしご興味のある方はぜひ足をお運びください。





宇多丸さんつながりでもう1つすごく良かったのが、11月29日放送分の読書特集でおススメ本として挙げられていたこの本。出張中に読みました。






「集団主義」という錯覚―日本人論の思い違いとその由来

「集団主義」という錯覚―日本人論の思い違いとその由来









読みながら、我らが小川忠さんへのインタビュー(Part2)で小川さん*3がこんなことをおっしゃっていたことを思い出しました。






国際交流を通じて相互理解を深めていくという行為は、人の「先入観」とか「偏見」をひっくり返す、ということだと思います。国際交流の世界で25年働いてきて、経験則的にいえるのは、人は誰でも、無自覚のうちに偏見や先入観を持っていて、これを満たしてくれるものを書いたほうが喜ばれたりする。安心できるんでしょうね。その思いを満たしてくれないものは失望されることも多いのです。






自分もしばしば乱暴な議論をしてしまうことがあって、僕もずっと「どうして人は先入観や偏見を持ってしまうのだろう? 無知や経験不足や「目の前にある事実だけが絶対とは限らない(=だから言説でも何でも一旦は疑え)」といった警句だけで片付けられない原因があるのだろうか?」と思っていました。本書は、日本人=集団主義、欧米人=個人主義という強固な通説との相対し方をとおして、様々な知慧を提供してくれます。誰が読んでも収穫が多い著作であることは間違いありませんが、文化交流に興味がある方にとってはとりわけ必読の書だと思いました。




この本は「偏見」に由来する思いを満たしてくれる本ではありません。厳密な思考から導き出されたしっかりとした裏づけで読者を説得してくれる誠実さに満ちた本だと思います。みなさま、ぜひご一読ください!*4




*1:まだ報告書が書けてません(泣) 出張中の出来事についてはまたこのブログでも書きたいと思います。


*2:この映画と通底しているなと感じたのがE.レヴィナス『困難な自由』でした(例えばそのなかの1篇「神よりもトーラーを愛す」)。同書は内田樹先生の新訳で国文社から出ています。


*3:小川さんはジャパンファウンデーションの日本研究・知的交流部長兼日米センター事務局長です。JFサポーターズクラブにスタッフ紹介が掲載されています。


*4:毎日新聞紙上で沼野充義先生も書評されています。





Tuesday, December 16, 2008

 伝統の力。






みなさんこんにちは。


お久しぶりのオレペコ@空港閉鎖の解けたバンコクです(~ヘ~;)。





f:id:japanfoundation:20081215140657j:image:right:w280今日は、つい先日行われた、「歌舞伎錦絵展覧会&歌舞伎舞踊レクチャーデモンストレーション」(ちょっと長くてむずかしい名前ですね・・・)の模様をお伝えしようと思います。




この事業は、歌舞伎錦絵*1の展覧会にあわせ、その錦絵と深いつながりのある「歌舞伎舞踊」公演を実施することで、日本の伝統文化についてより深く理解していただこう、という企画。バンコクでの展覧会は12月9日から20日までの約2週間。そのオープニングを、華やかな歌舞伎踊りで彩ろうという試みでした。




最近、日本の漫画やアニメ、コスプレなどのポップカルチャーが世界中で注目されていますが、今回、オレペコが実感したのは、「やっぱり日本の伝統ものは強いなあ」ということ。この事業も、PRを開始した直後から申し込みが殺到し、1日2回公演の予定だったのですが、両公演ともあっという間に席が売り切れる人気ぶり。タイの全国紙などのメディアも、大きな写真入りで告知記事を書いてくれました*2。 事業終了後のアンケートでも「(このようなすばらしい舞台をするのには)座席が少なすぎる!」「会場が狭すぎる!」といった、ある意味ありがたいお叱りのコメントもいただいたくらいです。





特に観客のみなさんが気に入ってくださったのは、今回のイベントの構成。


およそ100分ほどの公演の中に、レクデモならではの盛りだくさんな内容が詰め込まれていました。歌舞伎の本公演のような大掛かりな舞台装置や迫力はない代わりに


「あの着物、どうやって着るの?」


「あの独特のメイクにはどういう意味があるの?」


といった、素朴な疑問にしっかりと答えてくれ、また、一つ一つの舞を本当に間近に見ることのできる、ある意味ものすごく貴重な時間だったと言ってよいでしょう。これを見て、「今度は本公演を見てみたい!」と思った人も多いはず。また、デモンストレーションを見終えてから展覧会場に戻り、歌舞伎のスターや有名な演目の一場面が描かれた歌舞伎錦絵をじっくりと眺める人々の姿が印象的でした。





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<<化粧・着付デモンストレーション。「おちょぼ口がセクシーだった」「ぱっちりした二重ではなく、すっきりした一重が美人だった」と説明が入る度に「うそー!ありえなーい!」と会場に笑い声が漏れました。また、二人がかりで着物を着せる様子に皆さん興味津々>>





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<<日舞の手のテクニックを全員で練習!踊り大好きなタイ人、全てのテクニックを覚えたあとで、タイの人気歌手のポップソングで全員一緒に日舞を舞いました!写真右は、自分でやってみたあとに見るとまた一味違う、静御前の舞>>








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<<繊細で美しい錦絵、隈取の写真パネルなどに見入る人々>>








さて、そんなこんなで大成功のうちに幕を閉じた錦絵展覧会のオープニング。


翌朝、オレペコが会社に行ってみると・・・日本語の先生を育成する事業を担当しているスタッフからうれしい報告が。「今朝、教室に入ってみると、生徒さんたちがみんなで、日舞を踊ってましたよー。しかもみなさん「手」がすっごく上手にできてました!」と。





文化芸術事業と日本語事業。

とかく個別に物事を進めがちなのですが、最近は、文化芸術事業を積極的に日本語事業部にも案内するようにしている、その成果がで出ていることが感じられて、これはうれしい収穫でした。前にもこのブログで紹介した*3、日本語の先生の「卵」たち。彼ら、彼女らが今回の事業を見て、肌身で感じてくれたこと、それが来年、再来年と、地方のタイの若者たちに伝わっていく。その広がりこそが私たちJF職員が求めているもの。一過性のイベントで終わらせないことがとてもとても重要なことなのです!




*1:浮世絵と同義で使われることもありますが、より正確には、浮世絵のうち、多色刷りの木版画のことを指します。


*2:たとえば、タイの二大英字紙のひとつ、The Nation のWEBバージョンにはこんな記事が⇒ 。あと、takaさんは、こんな告知記事を書いてくださっています!


*3:新規研修の先生に関するブログはこちら





Friday, December 12, 2008

プログラム担当者の今日この頃









☆。.:*:・'あっという間に12月ですね☆。.:*:・'











『文化の秋』とはよくいったもので、国際交流基金の事業は10月11月に集中する傾向にあるようです。








振り返れば、秋には、蟹江も複数のプロジェクトを同時並行で進めていました。10月後半から11月にかけて、アニメの専門家に中米に赴いていただき、レクチャーを行って頂きました。


11月半ばからは、日本料理アカデミー様のご協力の下、料理人の先生方にアメリカに赴いていただき、日本食紹介事業を行いました。 


その準備をしながら、文化人招へいプログラムでマレーシアからお招きした国立美術館長の、


日本国内の各主要美術館の方々との面会をアレンジし、今度は日本からベトナムに文化財保存の専門家を派遣し・・・・

4つのプロジェクトを同時並行に進め、何とか無事終えることができ、ほっと一息・・・*1


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ちなみに、この写真は、マレーシア国立美術館館長が日本国内の各主要美術館を訪問した際に頂いたカタログです。






文化企画課の机を覆いつくすほどの量!!


各先々で頂いたカタログをマレーシアにお送りしようと思ったら、ダンボール2箱分になりました♪







文化人招へいプログラムについては、この「地球を開こう」ブログでも何回か取り上げていますが、*2


お越しになる文化人の方の専門やご希望を伺いつつ、日程を組んでいきます。


約2週間という限られた滞在期間の中、出来るだけ実りの多い滞在にしていただこうと、気がついたら、スケジュールがいっぱい・・・なんてことも。


大忙しな滞在日程になることがほとんどです。


マレーシア国立美術館長をお招きした今回のプログラムでも、東京→福岡→広島→京都→金沢→東京を10日間で回るというなんとも強行スケジュール。


東京だけでも、


「横浜トリエンナーレ」から始まり、


・国立新美術館の


「巨匠ピカソ 愛と創造の軌跡」展「日展」





・森美術館の「チャロー!インディア:インド美術の新時代」展





ミズマアートギャラリー様





・東京都現代美術館 


「ネオ・トロピカリア/ブラジルの創造力」


「森山大道 ミゲル・リオ=ブランコ 写真展─共鳴する静かな眼差し」





・東京国立近代美術館、「沖縄・プリズム 1872-2008」と、


今、注目されている数えきれない展覧会を見るだけでなく、美術関係に携わる様々な方々とお話し、日本での人脈を広げるとともに、日本理解に努められました。



特にお気に入りだったのが、この東京都現代美術館の展示。


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この葉っぱ、実は、ある機能の役割を果たしているのです!!

さて何でしょう。*3


強行日程な中でも、Najib館長は、精力的に訪問し、様々な人とのお話しを通じて、日本を堪能され、「今回の来訪ですっかり日本のファンになりました」と仰ってくださいました。


なんともありがたいことです。


これを言われると、どんな疲れもふっとびます。


今回の訪問をきっかけとして、日本とマレーシアの交流の芽が育っていけば、とつくづく感じました。




*1:と思うまもなく1月から英国から来日予定の文化人のアポイントに追われています。


*2http://d.hatena.ne.jp/japanfoundation/20080708/p1
http://d.hatena.ne.jp/japanfoundation/20080212/p1
http://d.hatena.ne.jp/japanfoundation/20071128/p1
http://d.hatena.ne.jp/japanfoundation/20070417/p1


*3:気になる方は、是非、東京都現代美術館へ!! (まわしものではありません)





Monday, December 8, 2008

をちこち26号、刊行しました!






f:id:japanfoundation:20081208101540j:image:left


2008年は日英交流150周年。


それをきっかけに、改めてイギリスに向き合ってみよう、というのがこの号です。政治・経済・環境、いろんな面で没落した時期があるイギリス。でも、常に復活するイギリス。伝統を大切にする。でもビートルズやパンクファッションも生み出す。そんなイギリスの底力に迫ってみました。





巻頭鼎談は、黒岩徹さん〔元毎日新聞欧州総局長)、小林章夫さん(上智大学教授)、新井潤美さん(中央大学法学部教授)の3名が参加。


在英経験の長い方たちならではの、イギリスの強さの秘密やメンタリティを語っていただきました。成熟したオトナの国であり、モンティ・パイソンをはじめ「ぎりぎり」のユーモアを楽しむイギリスを研究されている方たちだけあって、「ぎりぎり」のユーモアもまじえながら、深い話をしていただきました。12ページの枠に抑えるのが辛かった(><)、内容たっぷりの鼎談です。





それから、在ロンドンのエッセイストである入江敦彦さんはイギリスの「元気の素」についての軽妙なエッセイを、イギリスでの活躍も目覚しい野田秀樹さん()には、なぜイギリスで上演し続けるのかをお聞きしました(聞き手:長谷部浩氏/演劇評論家)。


今回も豪華メンバー。ぜひご一読ください。感想もぜひ!





話といえば、


■野田秀樹さんへのインタビュー。NODA MAPの舞台が好きなワタシには夢のような企画。ICレコーダーをもって、わくわくインタビューの場にむかったのですが、これが、面白い!! 「野田秀樹論」を執筆した長谷部先生との相性はばっちりで、ユーモアたっぷり、深い話もたっぷり。当初は4ページの予定だったのですが、「これはページ数を増やさねば!!」ということで、ほぼ倍の7ページを充てることになりました。


■特集タイトルが落ち着くまでにも、時間がかかりました。もともとは「再生する英国」を予定していたのですが、ちょーど、そこで、金融危機が・・・。英国がもつ底力に目をむける、というコンセプトに変わりはないのですが、どうしようかと。ちなみに、他のアイディアとしては、「がんばれ!イギリス」「イギリスの元気の素」など。





号は「世界の研究者が見つめるNIPPON」。国際交流基金の柱のひとつ、日本研究をとりあげます。


日本研究の変遷と現在の動向、将来の展望を語る、と書くと、ちょっと堅いのですが、いろんなNIPPONを研究している方たちに登場していただく予定。日本の政治や経済はもちろんのこと、ヤクザ、ジャズ文化に落語、クモ合戦に獅子舞。なんで、こんなNIPPONに興味をもったのか? そもそもリサーチってどうするの? そんな話もとりあげる予定です。どうぞお楽しみに!





Friday, December 5, 2008

今年の(個人的)ベスト映画が名画座で観られる!






昨日、新宿バルト9で『ハッピー・フライト』を観て心楽しい久保田です。





僕は趣味が読書と映画観賞で、この2つについては放っておいても身体が自然に求めてしまいます。


内田樹先生の影響で、小津安二郎監督の作品を観るようになって以来、ずっとこんな状態です。

『秋刀魚の味』*1や『晩秋』『秋日和』は今でも大好きな作品です。




それ以来、内田先生から町山智浩さん*2、ライムスターの宇多丸さん*3と芋づる式に触手を伸ばし、彼らの映画評論に導かれながら映画を観続けています。





今年映画館で観た映画のなかですぐに頭に浮かぶ=個人的ベストは5作品。






『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(There Will Be Blood)』


『シークレット・サンシャイン(Secret Sunshine)』


『ぐるりのこと』


『ホット・ファズ(Hot Fuzz)』


『ダークナイト(Dark Knight)』






どれも本当に(ポジティブに/ネガティブに)心が震える映画でした。




この5つの作品、振り返れば、すべてが町山・宇多丸ホットラインがきっかけで映画館に行ったものでした。懸念されるのは*4『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』と『シークレット・サンシャイン』は上映館があまり多くなかったため、その存在に気づかないままに終ってひとが多いのではないかということ。こういう見ごたえがあって、見た人を深く考えさせる映画は、もしかすると商業ベースには乗りにくいのかもしれませんが、観た人は絶対「最高!」って言うんじゃないかと思うんです。





そんななかの1本『シークレット・サンシャイン』は12月13日からの1週間、高田馬場の早稲田松竹でリバイバル上映されることになりました。さらには、小津安二郎監督の『晩秋』『秋刀魚の味』、エドガー・ライト監督の『ホット・ファズ』も上映される模様。12月から1月にかけての早稲田松竹のラインナップは要チェックです、勝手におすすめします!『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』の早稲田松竹での上映はもう終ってしまったのですが、DVDがもう出てます。ポール・トーマス・アンダーソン監督、恐るべしです。





以上、12月-1月の(勝手に)おススメ情報でした。




*1:若き日の岩下志麻さん@『秋刀魚の味』、美しい・・・


*2:町山さんのポッドキャスト連載『アメリカ映画特電』。『映画秘宝』の歴史の回と『真説・ザ・ワールド・イズ・マイン』の回はしびれます。


*3:TBSラジオ・ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル。めちゃくちゃおもしろいです! 特に今年7月26日のポッド・キャスト「町山智浩・高橋ヨシキ・平山夢明 3大野獣による鼎談」は面白すぎて腹が捩れます。もちろんライムスターの本業はラップ!! 曲も最高です。


*4:多くの人に観て頂きたいという意味で勝手に懸念しています。





Monday, December 1, 2008

日本語能力試験まであと1週間!






12月7日。




年に1度、日本語学習者にとって大きな意味を持つ日が今年もまたやってきます*1


1984年に開始されて以来、今年で25回目となる日本語能力試験の実施日です。




このブログでも昨年のこの時期、潮風さんが記事を書いています*2


私、久保田はまさにこの試験の海外での実施を担当しているのですが、試験当日を目前に控え、バタバタした毎日が続いています。




昨年度、全世界での応募者は約63万人だったのが、今年はさらに3万人増えて約66万人(!)。なかでも日本国内、タイ、香港、ベトナムで応募者数の伸びが顕著です*3





普段仕事をしているときには66万人というのは実績の数字なので驚いたりしている暇もないのですが、いまこれを書きながらあらためて考えると、1日に66万人が受ける試験って・・・・・・。





個人的な思い出ですが、以前、台湾に留学していたころ、たくさんの友人がこの試験を受けていて、現地の友達と対策を練ったりしていました。ただ、そのときはこの試験の受験者数がこんなに多いとは想像すらしていませんでした。日本語の公的試験を受ける方々が66万人もいるという状況を、その当時の僕みたいに知らない日本人もたくさんいるのではないでしょうか。





この試験は基本的に「日本語を母語としない方」が受ける試験です。すると受験者は必然的にそのほとんどが外国人ということになります。広報もできる限りがんばっているのですが、日本語の学習者への広報が主になってきます。そうすると、日本語教育関係者や教育機関関係者、あるいは日本語を学んでいる外国人のご友人がいる方でもない限り、この試験が現状どのような試験であり、また今後どのように展開していくのか、知らないひとがほとんどなんじゃないかな、と想像しています。




僕はこのような現状を多くの日本人にも知って頂けたらなと思っています*4





さらに、国際交流基金(ジャパンファウンデーション)は、現在年に1回であるこの試験を、2009年から年2回実施する予定です(試験の年複数回化)。また、2010年からは25年の伝統を持つこの試験を、よりよいものにしようと鋭意準備を進めています(改定新試験の実施)。このような新しい動きについても、いろいろな形で広報を行っていけたらと考えています。





日本語能力試験という試験がどのように作られ、そして運営されているのか、外部からはわからない部分もたくさんあると思います(ある部分は機密ですから当然ですが)。正直に言うと、僕も学生時代、台湾の友人と一緒にこの試験についてブーブー文句を言っていました。




ただまさに「言うは易く、行うは難し」、批判するのは簡単です。普段は思い至らないだけで、目の前に当然の如くあるものの背景には多くの人々の尽力という膨大な積み重ねがあることがしばしばであるように、この試験に関わってくださっている方々のお仕事ぶりは本当にすごいです。これは身内の贔屓目とだけ言って片付けられるものではないとすら思います。先日発売になった『Monkey Business No.3.5』のなかで、村上春樹さんが英国の作家カズオ・イシグロを評したような、「礼拝堂の広大な天井や壁に長大な時間をかけて一面の絵画を描き上げるよう」な作業をされていると個人的には思っています*5。そんな努力の積み重ねの結果、少しずつでき上がっていく試験問題は、芸術品だと言えると思うのです。僕も事務局の一員として、本当にできる限りのことをしたいと思います。





最近「日本語教育情報局@コンケン」というサイトを見つけました。そこに日本語能力試験のご案内も。





上でも書きましたように、タイではますます受験者が増えてきています。サイトの運営をなさっている西野先生とは面識がないのですが、先生、ご案内ありがとうございます。これからも任国でのご活躍をお祈り申し上げます。





最後になりましたが、受験者のみなさん、ご健闘をお祈りします!がんばってくださいね!!




*1:例年、原則として12月の第一日曜日に行われます。


*2:潮風さん、この前は「きもの」記事のご投稿ありがとうございました!


*3:利用者の方にはわかりにくいと思うのですが、日本語能力試験は(財)日本国際教育支援協会との共催で行っており、日本国内での実施は同協会が担当しています。日本国内と海外で問い合わせ先が異なるのですが、混乱される方もしばしば。「受験地」を基準にお問い合わせ頂ければと思います。


*4:どうしてそう思うのかというのは、書き始めるとどこまでも書いてしまうような気がするので割愛。


*5:原文は「…彼(カズオ・イシグロ―引用者)は巨大なひとつの絵画を書いている。たとえば一人の画家が、礼拝堂の広大な天井や壁に長大な時間をかけて一面の絵画を描き上げるように。それは孤独な作業だ。時間もかかるし、消耗も激しい。一生仕事だ。そして彼はその一部を描き上げるたびに、何年かに一度、我々にその完成された部分を公開する。…」です。